研究分担者 |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学部, 教授 (00098485)
橋田 充 京都大学, 薬学部, 教授 (20135594)
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
粟津 荘司 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (60012621)
花野 学 日本大学, 薬学部, 教授 (60012598)
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研究概要 |
臓器・細胞・分子・遺伝子レベルで薬物動態・薬効の臓器普遍性または臓器特異性を明らかにし、これを合理的に制御する方法を開発することを目的とし、本研究班構成員14名の2年間の研究により、次に示す成果を得た。 1.薬物の口腔・消化管からの吸収・分泌、肝・腎排泄、脳などの臓器分布・排出に関与するトランスポータ(TP)群の存在の示唆及びそれらの化学構造認識・輸送特性の解明、PepT1, PepT2, MCT1, cMOAT, OATK1, OCT2などのTP群のクローニングとその機能解析、及びこれらのTP群の組織分布性を明らかとした。また、P-糖蛋白質が脂溶性薬物の小腸からの吸収や脳移行を制限するバリアー機能を演じていることを明らかとし、吸着介在エンドサイトーシスによってペプチドを脳に送達する道を開いた。 2.グリコシド化、粘膜接着性、パイエル板のエンドサイトーシス活性、イオントフォレ-シスの利用あるいは細胞間隙拡大物質による低・高分子薬物の吸収促進機能を解明した。 3.分画へパリンのスカベンジャーレセプター及び血漿蛋白質が介在する肝移行制御、ガラクトース修飾蛋白質の肝特異的分布性の調節、活性酸素やNOラジカルが病態制御因子として重要な役割を演じることをつきとめ、部位指向性SODを標的病態臓器に集積させることに成功した。また、腫瘍臓器血管内皮細胞に対するモノクロナール抗体を利用した斬新な癌ミサイル療法の道を開いた。 4.α_1受容体をモデル系として、ヒト薬物受容体のクローニングとその細胞内情報伝達機構を解析した。また、脳内および抹消組織には、それぞれN^3-フェナシルウリジンおよびウリジンと強い親和性を有するレセプターの存在を示唆する新規な結果を得た。ペンタゾシンをラットに投与後の血漿中・脳内濃度と鎮痛効果の時間推移を薬物動態学的に解析し、神経活動の制御機構を解明する方法を開発した。 以上の成果により、本総合研究は初期の目的をほぼ達成することができた。
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