研究課題/領域番号 |
07307036
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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研究分担者 |
長野 哲雄 東京大学, 薬学部, 教授 (20111552)
菊川 清見 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90120146)
山内 脩 名古屋大学, 理学部, 教授 (70029643)
小沢 俊彦 放射線医学総合研究所, 薬理化学部, 部長 (40160858)
内海 英雄 九州大学, 薬学部, 教授 (20101694)
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キーワード | ESR / フリーラジカル / スピンプローブ / 活性酸素 / インビトロ計測 / スピンラベル / インビボ計測 |
研究概要 |
本研究プロジェクトにより3年間の研究を行い、次の貴重な成果を得た。 1)L-band ESR法による研究:画像化の感度上昇を目指し、新しい装置を開発するために新しいプローブを試作した(内海)。また、L-band ESR装置の新しい測定法、特に酵素反応をモニターする方法を考案した(小林)。一方、安定スピンプローブを投与したラットやマウスの脳および腹部でモニターしたL-band ESRスペクトルの動態解析を行い、投与量や動物の年齢に依存してスピン消失速度定数が変化することを見出し、将来スピンプローブを結合させた薬物の動態解析に貴重な指標を与えることができた。さらに、定量的薬物動態解析が可能であることを示した(桜井)。一方、酸化的ストレスモデルとして、放射線照射下でのスピンプローブの信号強度は、ストレスの大きさと相関することを明らかにした(小沢)。銅(II)錯体の室温および低温でのL-band ESRスペクトルを初めて観測した(桜井)。 2)X-band ESR法による研究:a)装置の開発:画像化の装置を試作し、実用化の見通しを得た(小林)。b)生体とラジカル:突然変異、疾病(ガン、肝臓病、胃潰瘍など)や老化に関係する活性酸素、フリーラジカルあるいは一酸化窒素NOの検出や生成機構について詳細な解析をおこなった(菊川、古川、岡部)。c)スピンラベル法とスピンプローブ法:スピンラベル法を用いて、赤血球膜タンパク質バンド3の特性とラジカル溶血との関連を明らかにし(佐藤)、また、薬物の経皮吸収や肝臓における代謝の機構を解明するためスピンラベル法の有用性を示した(北河、相本)。d)化学領域におけるESR法の新展開:金属酵素やタンパク質の反応部位におけるラジカルの検出やNOとの新しい反応の確立にESR法の有効性を示した(桜井、小沢、山内、長野)。また、医薬品合成におけるラジカル中間体の検出にESR法の新しい応用性と方法論を見出した(北)。さらに、セレン化合物の抗酸化活性の評価にESR法が用いられること、および新リ-ド化合物を示した(中室)。以上の結果にもとづいて、薬学領域のESR研究を大いに活性化できた。
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