研究課題
基盤研究(A)
本研究は、映像の構成を視聴者がどのように読みとるかを、発達的に明らかにすることである。視聴能力を「映像作成者が意図した、映像構成を、視聴者が把握する能力」ととらえた。使用した映像は、映画「裸の島」と、NHKの教育番組「動物のたんじょう」である。裸の島では、場面を制作者の分割した44のシーンを採用した。映画を視聴した後、これらの44のシーンのうち関連あるシーンの対を視聴者は選択し、これをデータとして、多次元尺度構成法により、場面を次元軸上に布置した。場面の関係は、映像構成上時間軸で相互に隣接関係にあるものを「近接関係」とし、時間軸では遠くにある場面間を「遠隔関係」とした。映像技法で、伏線は、遠隔関係にあるものが、心理的には近接関係にあるとみなされると判断し、これが、上記場面布置で現れるかを判断した。その結果、制作者が伏線関係としたものが、場面布置では近接関係に布置され、これを証明できた。NHKの番組を利用した研究では、映像視聴能力を、「場面の理解、場面関係の理解、テーマの把握、映像技法理解」の下位カテゴリ構成により、学年による発達を調べた。対象は、小学校3年、5年、6年、中学校1年生を対象とした。その結果、映像視聴能力は、学年により発達することが明らかとなった。また、視聴能力は学年のメディア行動と関連することが示唆された。
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