研究分担者 |
堀川 和美 福岡県保健環境研究所, 保健科学部, 専門研究員
野上 祐作 岡山理科大学, 理学部, 教授 (00172768)
中室 克彦 摂南大学, 薬学部, 教授 (30172464)
吉良 尚平 岡山大学, 医学部, 講師 (50033212)
内海 英雄 九州大学, 薬学部, 教授 (20101694)
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研究概要 |
1.海岸の砂の変異原性調査.瀬戸内海沿岸(玉野市出崎,香川県豊浜),日本海(鳥取県青谷),太平洋(高知県桂浜)各海岸の砂に含まれる変異原性を調査した結果,瀬戸内海沿岸の砂に強い変異原性を検出した.季節変動を調査したところ,夏に高く冬に低かった.これらより,砂の汚染がその海域の変異原汚染を反映ていることが示唆された.(早津,阪本) 2.水環境中の変異原物質の濃縮回収法の検討.環境における変異原物質動態を解析するためにはスポット値よりも一定期間の時間荷重平均値の方が効果的である.a)ブルーレ-ヨン懸垂法,b)Sep-PakC18持続通水法,c)シジミを用いた生物濃縮を利用する方法,の特徴をBenzo(a)pyreneをモデルとして比較研究した.結果,ブルーレ-ヨン懸垂法による測定値を水流強度で補正すれば,より定量性の高い手法へ改良できる可能性とわかった(吉良,野上). 3.河川水の変異原性.淀川流域における河川水,ならびに道路排水と雨水の変異原性について調査したところ,いずれもフレームシフト型変異原性を有し,親水性をおびた非極性の性状を示した.従って道路排水や雨水中の変異原性物質が河川水の汚染源になりえることがわかった.(中室)また,多摩川河川水の変異原性を小核試験により評価した結果,下流域で活性が認められた.細胞毒性と遺伝毒性に相関は見られなかったので,2つ以上の評価法を組み合わせる必要があると考えられる.(内海) 4.湖沼水の生物活性値と化学的検査の比較検討.ブルーレ-ヨン懸垂法による変異原性測定値と化学的水質検査項目(化学的酸素要求量,水素イオン濃度,浮遊物質量等)とは相関性が見られず,生物活性値による汚染度評価指標が必要とわかった.(堀川)
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