研究分担者 |
徳永 史生 大阪大学, 理学部, 教授 (80025452)
尼川 大作 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70031359)
中村 整 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50217858)
鈴木 教世 北海道大学, 理学部, 助教授 (10001851)
木島 博正 名古屋大学, 理学部, 教授 (30012397)
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研究概要 |
嗅細胞と味細胞における情報変換機構を中心に研究が行われた.嗅細胞においては,カエル,カメ等の遊離嗅細胞にパッチクランプ法を適用して実験が行われた.カエルの嗅細胞を用いた実験では,一個の嗅細胞が多数の匂いに応答することが明らかにされた.G-蛋白質共役型受容体は,一個の嗅細胞に一種類しか存在しないので,匂いの受容はG-蛋白質共役型受容体以外の受容体でも受容されていることが示唆された.また,嗅細胞におけるCa依存性のClチャネルが,匂いの受容に関与していることを示唆する実験結果も得られた.また,ラット嗅細胞内でカルモジュリンが,順応における負帰還調節に関与していることが示唆された. マウスの舌上皮から味蕾標本を作成し,味細胞からホールセル記録を行う方法が開発された.これにより,味細胞のミクロビリ-膜に局所的に刺激物質を与えることが出来る.この方法で,アミロライド感受性電流の特性が明らかにされた.また,ハエの味覚毛にパッチクランプ法を適用し,cGMPにより引き起こされる電流を観測した.さらにハエの味覚毛にはGq型のG-蛋白質が存在していることが確認された.甘味抑制剤であるグルマリンを用いて,グルマリンと結合する蛋白質の探索が行われたが,現在まで同定されていない.一方,フォスファチジルコリンとβ-ラクトグロブリンからなる苦味抑制剤をカエルの味覚器に適用し,各種の刺激物質を与えたときの味神経応答を測定した.その結果,大部分の苦味物質は顕著に抑制されるが,塩化マグネシウムのような塩型の苦味物質の応答は抑制されないことがわかった.
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