研究概要 |
(1)富山県内の2市3町でスギの切株から採取した約60本のコアサンプルを研磨後,年輪幅測定・解析システム(LINTAB-TSAP)を用いて測定および解析を進めている.一部のコアサンプルは現在,測定準備中であるが,大気汚染がスギの肥大成長におよぼす影響について,既存の試料とあわせて中間的な取りまとめを行った.その結果,1960年代後半〜1970年代前半の大気汚染レベルが高かった時期に成長が悪いことが明らかになった.この成果について,国内外で開催された国際学会で3件の発表を行った.また,石川県小松市内でクロマツの切株から材料を採取するための予備調査を行ったほか,京都府京北町内の丹波広域基幹林道工事現場に残るスギの切株からコアサンプルを約30本採集した.さらに,同地点から搬出されたツガの老齢木の円盤試料(2検体)を研磨し,年輪幅を測定した. (2)京都大学農学部演習林徳山試験場他,上賀茂試験地などにおける調査により、マツ類の集団枯損病の激害地では外見上健全でありながら病原体を潜在させているいわゆる無病微感染個体(キャリアー)が存在することが明らかになった(学会で口頭発表)。また、この病気の発生率に共存樹種が影響することが解明された。マツ属針葉内生菌の生態や、マツ属稚樹成立における落葉宗の層の阻害効果についても一定の知見が得られた。 (3)福井県坂井郡に設置された定点調査区においては、引き続き樹木活力度のモニターリング調査が行われた。現在、過去20年以上にわたる活力度データを基礎に、シミュレイション・モデルを用いた解析が進められている。
|