研究課題/領域番号 |
07309002
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
村上 陽一郎 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40012504)
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研究分担者 |
公文 俊平 国際大学, グローバルコミュニケーションセンター, センター長 (80012318)
糟谷 英一郎 山脇学園短期大学, 家政科, 講師 (20224420)
岩崎 敬 (株)岩崎敬環境計画事務所 東京大学, 先端科学研究センター, 主任研究員 客員研究
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キーワード | 計画論 / 都市計画 / 安全科学 / 博物館学 / コミュニケーション科学 / 生涯学習論 / コミュニティ計画 / マルチメディアネットワーク |
研究概要 |
●タグによる風景の情報化実験 直接関係するデータの伝達だけでなく多くの背景情報を「タグ」として付加することで、情報の受け手が送り手と同じコンテクストを持ち、新たな連想を得るためにも大きな意味をもつ。画像データに「タグ」を付加する実験では、提供画像の持つ基本的な訴求力の向上を助けることを破認した。しかし、現実的な画像の質の差異がコンテクストの伝達に大きな差異をもたらす。これは画像ソースの問題だけでなく、画像提供環境の問題でもある。 ●オーサリング技術の課題 「タグ」付けは、一つの画像に対する認識を深める、認識を変える、認識を共通化する効果を持ち連想を助けるが、それ自身は新しい創造のプロセスの一部に過ぎない。新たな印象を情報として追加していくプロセスの記述が課題となる。これを、簡単な画像を関連づけていくソフトを用いて実験を行った。実際の創造活動では、既存イメージを分析し関連づける作業と、新しいイメージの創作とは、ほぼ同時展開されている。自由な創作的活動の支援のツールを開発するためには、必要とされる既存イメージを多数提供すること、これらの自由な検索と試行錯誤を可能にするという開発課題が認識できた。 ●ネットワークとコミュニケーション空間の課題 連想を助ける多くのイメージを全てデジタル化可能であると仮定した上で、コミュニケーションの場を効果的にしていくためには、情報提供画面の大規模化が重要となる。一つは意識の集約を高めるために複数の人材で一つの画像を確認し、同時に相互に意見の交換を進めるため。二つには、関連情報を同時に複数確認するため。三つには精緻なイメージの確認のため。四つには画像イメージを観察対象として見るのでなく、環境として認識可能なサイズとするため、の四点である。一般のディスプレイの規模をはるかに越える部屋の壁面単位のスケールが必要である。一方、創造者の分散は将来的な課題として取り上げられるが、個々のイメージ認識環境の違いがコンテクストの違いにつながっていく可能性もあり、通信技術の問題だけでなくコミュニケーション空間の問題は基本的な課題である。 ●根本的な研究課題 創造的なコミュニティの実現のためのメディアと空間の技術課題について基本的な研究を進めてきたが、実際のコミュニティでは技術的な側面のみならず、その利用局面での情報の吸収と発信というコミュニケーションに対する願望という基本的な側面での課題も大きかった。より広義に解釈すると、巨大都市のコミュニティではコミュニティの感性と創造性の欠落が大きく、創造力の欠落は「都市の死」を意味するとすると、より根元的な課題研究の必要性を感じた。
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