研究課題/領域番号 |
07309002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
村上 陽一郎 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (40012504)
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研究分担者 |
公文 俊平 国際大学, グローバルコミュニケーションセンター, センター長 (80012318)
糟谷 英一郎 山脇学園短期大学, 家政科, 講師 (20224420)
岩崎 敬 (株)岩崎敬環境計画事務所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 計画論 / 都市計画 / 安全科学 / 博物館学 / コミュニケーション科学 / 生涯学習論 / コミュニティ計画 / マルチメディアネットワーク |
研究概要 |
1.自律型コミュニティは、近代社会から情報化社会への移行途上の街づくりの基本課題である。その要素は、文化的多様性の担保、市民参加、そこで生まれる創造的な活動である。本研究は、村上、岩崎らが研究を進めてきた次世代の都市概念「cell city」のコミュニケーション機能である「trans inspiration network」について具体的なイメージを創ることが目的であり、学習の場であるミュージアムを中心に検討を進めた。 2.阪神大震災は、生活基盤とコミュニティ基板を失った未知の環境で、市民が自立するために情報がどのように機能したかを知る重要な事例となった。ボランティアを含め多くの人々が、多様な情報を頼りに主体的な活動が出来たのは、パソコンネットワークの「公開共有性、双方向性、即時性」、そして受け手の想像力を駆使した理解力のためである。 3.データベースとしての博物館、鑑賞の場としての美術館は多いが、創造的コラボレーションの場を持つミュージアムは少ない。一方、活動拠点である公民館には知的刺激を得る情報が無く、図書館には活動の場が欠けている。また、既存ミュージアムでのメディア利用は、利用展示の案内が多く、メディアは創造の支援に寄与していない。Trans Inspiration Networkでのミュージアムでは「メディアと場」の一体性が必要と確認される。 4.インターネットは画像による双方向コミュニケーション、関連情報とのリンクの可能性を持つメディアである。そもそも画像情報は送り手と受け手との認識の差が、双方にとって新しい認識に至る可能性を持つ。そのためには、送り手の意図や受け手の感想を併せて伝える必要がある。さらに、送り手のイメージの変遷を送ることも「創造的な刺激」となる。既存技術では、イメージの変遷を容易に編集できるツールは少ない。本研究では、画像に意図等を付加した情報を「情報の風景」、そのつながりを「ストーリー」と呼び、この考え方を西宮の復興街造りで試みた。震災からの復興計画で約1600件の地域や震災に関する「情報の風景」を集積した。「情報の風景」の創作者は、その過程で西宮の特徴、震災の実態を容易に理解した。受け手の認識を効果的にするためには、壁面サイズに近い画像が望ましいという感触を得た。これは教会の壁画と同じで、体感的に内容を伝えていく手段の一つである。また、実際のワークショップに参加した者は関係者であるため公開性の評価は今後の課題である。また、情報の風景を基にした「ストーリー」の制作を実験的に行ったが、操作性の点から街造りの現場での運用は今後の課題となった。
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