研究課題/領域番号 |
07309017
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
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研究分担者 |
岡部 靖憲 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30028211)
松本 健司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80183953)
辻下 徹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10107063)
儀我 美一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144110)
岸本 晶孝 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00128597)
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キーワード | カオス的力学系 / 論理 / 結合写像格子 / 確率過程 / 幾何学 / セル力学系 |
研究概要 |
複雑現象の数理的理解を深め、現象の数理学的構造を抜き出すことにより、実験数学的方法を確立することを目的に研究集会を行なった。複雑現象から数理構造を抽出することにおいては、雲の生成や雪崩のダイナミックス、タンパクの機能発現部位の数理構造の研究に成果がみとめられた。方法論的には、現象を支配する最少の物理法則を結合写像格子を道具として書きくだし、シミュレーションを行なう方法、背後の物理法則はできるだけみないようにして、幾何学的規則を変分原理を道具として抜き出す方法、が良い方法になることが明らかになった。複雑な体系の理解の方法としては、カオス的な関数写像を一般的な道具とすることが提案され、これにより、言語の生成の数学的規則が明確になる可能性がみえてきている。また、カオス力学系による複雑現象の理解は、カオス力学系の研究が高次元にむかえば協力な道具になることが、セル力学系や非双曲型力学系の研究からうきぼりにされた。また、高次元のカオスから決定論的規則を抽出することは一般に困難であるため、あらためてカオスを確率過程として記述する方法が開発されつつあり今後の研究の発展が待たれる。論理とカオス的力学系は複雑系をよりよく記述するための異なる道具であると考えられてきたが、この二者が深い関係をもつということが今研究集会で明らかにされた。まず、現象を論理で記述し、それを推論の書くステップに離散時間をわりあてることで離散力学系に変換する。矛盾を含む命題の力学は周期解に対応し、より高次の自己言及的命題で矛盾を含まないものの力学はカオスに対応することが分った。従来考えられていたこととは異なり、論理には本質的な部分でダイナミックスが内包されていることが明らかにされた。この考えを関係を記述する論理に適用し、カテゴリーなどとのかんけいを明確にすることは今後の課題になるであろう。
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