研究課題
1997年、23年ぶりで高圧科学と技術に関する国際会議が日本で開催されることになった。この会議で議論される分野は高圧技術を用いた広範な領域にわたっている。日程の制限から、議論が希薄にならざるを得ないのが実情である。一方、超高圧下の物性研究の進展は近年、国内国外とも非常に目覚ましいことを考えると、この国際会議の機会にサテライト会議を開催して、この分野の専門家を一堂にあつめ、密度の高い研究成果の報告と討論を行い、国際交流の場をもつことは極めて意義がある。本研究はこのような背景から企画され、国内外の研究動向調査を行った。研究動向調査は企画会議の提案をもととして、研究分担者を主体とした高圧下の物性研究の現状を調査報告する研究会と、この分野の若手研究者による最先端の研究発表・討論を主体とした研究会の都合2回行った。第一回目は日本高圧力学会主催の高圧討論会の会期の前々日に、高圧討論会会場に近い科学技術庁金属材料研究所で公開で行った。そのため、参加者も多数で、成功裏に終えることができた。第二回は箱根静雲荘で泊りがけで研究会を行った。この会議では全国から、実験に携わっている若手実験研究者の研成果の発表とそれに助言を与えてくれるベテランの物性理論研究者を招いた。討論・意見交換が活発にしかも密度高く行われ、この会議も非常に成功した。これらの研究会の成果報告書は約200ページにもなり、高圧技術を用いた最近の物性研究の動向を調査したものとして極めて高い価値があるものと思われる。この成果をもとにサテライト会議の準備をすすめている。