研究課題/領域番号 |
07401001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薗田 坦 京都大学, 文学研究科, 教授 (40047072)
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研究分担者 |
中畑 正志 京都大学, 文学研究科, 教授 (60192671)
伊藤 邦武 京都大学, 文学研究科, 教授 (90144302)
内山 勝利 京都大学, 文学研究科, 教授 (80098102)
山本 耕平 京都大学, 文学研究科, 教授 (70025071)
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キーワード | 普遍性 / 多元性 / 一元論 / 神秘主義 / 合理性 / 因果性 |
研究概要 |
平成8度の研究においては、研究者5名が、研究方法に関しては<歴史的分析>と<論理的・概念的分析>という二つの視点から、また研究領域としては<多元性と普遍性の関係>と同時に<哲学・思想の営み自体における普遍性と多元性の意義>もふくめて、研究が遂行され、それらの二つの方法論と二つの研究領域との理論的連絡づけも試みられた。まず歴史的分析としては、内山を中心として、初期ギリシア哲学における多元論と一元論の論争的過程が後づけられるとともに、プラトンとアリストテレスにおいて一つの焦点を結ぶ古代ギリシア哲学が、ソクラテス以前の哲学者たちの多様な議論を上に初めて成立する経緯が具体的に解明され、さらに山本によってこのようなギリシア哲学の中世哲学における批判的受容過程が追跡された。また近代の神秘主義思想などが持つ哲学的意義が園田によって検討され、哲学の普遍的性格とその周囲の多元的文脈との関係が明らかとなった。他方、論理的・概念的的分析においては、伊藤によって、ケインズの思想の分析などを通じて、合理性概念のもつ普遍性と多元性の問題が検討され、また現代哲学そのものの多元的性格がその問題点とともに確認された。中畑は、一元論的とみなされる<因果性に基づく世界像>と多元的であると想定されている<模範性・合理性>との関係を、心をめぐる古代ギリシアの知見と現代の機能主義や非法則的一元論などの立場との比較検討を通じて、統一的に理解する可能性を論じた。これら各人の研究成果を踏まえて、相互の検討、批判が行われることによって、哲学・思想・文化における普遍的局面が多元的な文脈を前提としそれを批判的に受容することによって成立することが、歴史的・具体的に解明されるとともに、普遍性と多元性の理論的関係を理解する上での合理性概念の重要性も明らかとなった。
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