研究課題/領域番号 |
07401001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薗田 坦 京都大学, 文学研究科, 教授 (40047072)
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研究分担者 |
川添 信介 京都大学, 文学研究科, 助教授 (90177692)
中畑 正志 京都大学, 文学研究科, 助教授 (60192671)
伊藤 邦武 京都大学, 文学研究科, 教授 (90144302)
内山 勝利 京都大学, 文学研究科, 教授 (80098102)
山本 耕平 京都大学, 文学研究科, 教授 (70025071)
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キーワード | 宗教 / ソフラテス以前 / トマス・アクィナス / クザ-ヌス / カント / ケインズ / アリストテレス / 多元性 |
研究概要 |
平成9年度は、方法論的には(i)歴史的分析と(ii)論理的・概念的分析を通じて、研究領域としては多元性と普遍性が(a)<哲学内部、および哲学と宗教・信仰との関係>に関わる場面と(b)<個人と社会・外的世界>に関わる場面において研究を遂行し、さらに以上の二つの方法論と二つの研究領域の相互の理論的連絡の明確化に努めた上で、最終的な研究成果の集約をおこなった。まず、(i)及び(a)については、研究分担者に新たに川添と福谷を加えていっそうの充実を図り、その成果を理論的・概念的分析にも生かすことを試みた。具体的には、内山によって「ソクラテス以前の哲学者たち」の断片・学説の初の邦語全訳が試みられ、哲学の生誕時にすでに内含された理性的思考と宗教的・魔術的要素とのダイナミックな緊張関係とそこから発する複数の思考の線を見届けるための基礎資料が提示された。川添はボナヴェントゥラとトマスの「哲学観」における信仰と哲学の関係の多様な理解の分析に基づいて、また薗田は諸宗教の対峙と協調に対するクザ-ヌスによる哲学的反省の解明を通じて、多元性と普遍性の関係を考えるための思考のモデルを抽出した(山本もそのための資料を提供した)。さらに福谷は、中世末期に神学から自立した哲学が近世とくにカントにおいて形而上学として再確立する過程を展望した。他方(ii)および(b)については、中畑が、「客観的」外的世界と「主観的」内的世界との関係についての様々な理解をアリストテレスから現代哲学にいたるまでの言語観において跡づけた上で、「内」と「外」との成立と相互関係における言語の役割を分析し、また伊藤はケインズの方法論の分析を通じて、信念や合理性をめぐる個人的確信と社会的規約との関係を解明した。両者はともに個人の内面的多様性と社会の公共性や客観性との関係に新たな証明を当てている。以上の各自の研究は相互の批判的検討を経て研究報告書にまとめられた。
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