研究概要 |
私たちの社会にある科学技術や生活物資の中には,効用とともに危険を含む場合が少なくない。効用と危険(リスク)をトレード・オフして、これらの科学技術や生活物資をどのように受容するか、その認識構造や情緒構造を、比較文化的に解明する。 対象とする文化圏は、日本(大阪)と中国(北京)である。サンプル数はいずれも約千人、サンプリングの手法は、層化無作意抽出、調査手法は日本の場合は訪問配布・留置記入・訪問回収で、中国の場合は訪問面接法であった。 評価の対象となるトピックスとして,リスクの大小と、危険回避に際する主体性有無の2次元の組合せから、原子力発電、胸部レントゲン撮影、タバコと麻薬の4つが選ばれた。 調査項目は、トピックスについての知識量、関心の程度、効用性認知、安全性認知、不安感、好意度、事故の主観確立、災害の大きさ評価、災害の帰因、社会的受容、危険性の理由、効用性の理由、代替技術の受容、それに科学技術や政治問題への一般的な関心、科学文明や自然保護や企業への態度、各種のデモグラフイック要因などである。 データは目下解析中であるが、例えば日本の場合、原紙力発電の効用性と危険性と受容度は、それぞれ86%、70%、60%である。同様にレントゲンは、95%、31%、91%であった。また喫煙は、28%、82%、44%であった。最後に麻薬は、22%、95%、5%であった。 明年度は引続きアメリカの調査を行い、3カ国の文化差を比較検討する予定である。
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