1.研究分担者により、平成7年度より9年度までの3年間の研究成果がまとめられた。 (1)石炭産業と筑豊地域社会(清田勝彦) 炭鉱を中心とした筑豊地域(とくに田川市郡)の歴史と地域特性、地域的課題について解明した。 (2)福岡県田川地域の失業問題と就業構造(平野泰朗) 田川地域における失業率の高さをその発生原因から解明し、近年における就業構造の特性を分析。 (3)鉱山の分化人類学-資本主義の浸透に対する分化的反応(藤山正二郎) 鉱山における「山の神」信仰から、炭鉱で働く人々の精神的世界、信仰の特徴を解明した。 (4)外国人居住者の生活史について(李秀英) 第2次大戦中に朝鮮半島から強制連行された、筑豊の在日コリア人を対象とした生活史の分析。 (5)食生活の地域史(小松啓子) 石炭産業の元に多くの人々が集まり、様々な地域の食文化が融合し形成された独自の食文化の分析 (6)旧産炭地筑豊地方の精神医療(奥村幸夫) 炭鉱閉山の影響を受け、多くの精神病入院患者を抱えてきた筑豊地域の精神科医療の変遷を分析。 (7)生活様式の構成とその基礎条件に関する試論(田代英美) 田川市民調査より、生活様式の構成を安定性、生活問題、領域別選好度から捉え、その特徴を分析 (8)アルコール依存問題(大橋薫) 田川市郡におけるアルコール依存問題を典型的な2症例より分析し、その社会・文化的背景を解明 (9)川崎町における地域福祉の課題と展望(松永俊文) 田川郡川崎町における「老人保健福祉計画」に基づき、老人福祉事業の特徴と課題について分析。 (10)ひとり親家庭の福祉(町井輝美) ひとり親家庭の比率の高い筑豊地域における問題点とその課題を、実態調査に基づき分析した。 (11)田川地区における就学前教育のあゆみと今後の課題(林ムツミ) 炭鉱と深いかかわりをもつ筑豊の就学前教育の歴史について、幼稚園、保育所、同和保育から分析 (12)就学前教育(中藤広美) 田川市郡の保育所と幼稚園へのアンケート調査から、就学前教育の現状と今後の課題を分析。 2 上記論文の他、論文 編。本共同研究を通して戦後50年間の産炭地筑豊(とくに田川市郡)の産業、生活、福祉等の変遷について解明し、地域的課題の一部を明らかにすることができた。
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