研究課題/領域番号 |
07401009
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 昭英 東京大学, 史料編纂所, 教授 (00013285)
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研究分担者 |
菊地 大樹 東京大学, 史料編さん所, 助手 (80272508)
尾上 陽介 東京大学, 史料編さん所, 助手 (00242157)
榎原 雅治 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (40160379)
田中 博美 東京大学, 史料編さん所, 助教授 (60111572)
山口 隼正 東京大学, 史料編さん所, 教授 (20013279)
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キーワード | 室町時代 / 公武関係 / 公家 / 日記 / 史料学 / 古記録 / 薩戒記 |
研究概要 |
本年度は、「薩戒記」の諸写本の収集と系統分類について作業を進めた。収集のために赴いた機関は、国立公文書館・宮内庁書陵部・御茶の水図書館・静嘉堂文庫・大東急記念文庫・国立東京博物館・国立国会図書館・前田育徳会尊経閣文庫(以上東京都)、名古屋市蓬左文庫・西尾市立図書館(以上愛知県)、神宮文庫(三重県)、京都大学附属図書館・京都府立総合資料館・陽明文庫(以上京都府)、大阪府立中之島図書館(大阪府)、天理大学図書館・大和文庫(以上奈良県)、多和文庫(香川県)の7都府県18機関である。調査した写本は計40種で、うち18種については焼き付け写真を購入した。 以上の調査の結果、現存する「薩戒記」の全体像はほぼ明らかにすることができた。特に尊経閣文庫、京都大学附属図書館(旧滋野井家本・旧菊亭家本)からは他に類本のない年次の写本を発見したこと、国立国会図書館(旧前田家本)、国立東京博物館(旧菊亭家本)、京都大学(旧滋野井家本)において、部分的ながらオリジナルに忠実と見られる良質の写本を見つけたことは今年度の大きな収穫であった。これらの部分については底本が確定したといってよい。しかもそれらの部分は、記主中山定親が伝奏として公武交渉にあたっていた時期と重なるため、室町中期の公武関係を解明するための重要史料となることは疑いない。またその他の部分においても、諸写本の比較検討を進めた結果、二つの系統に大別できることが明らかになってきた。ただし、それぞれの系統の中での書写関係には未解明の問題が多く、底本たるべき写本の探索は次年度以後の課題である。
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