倒産においては、実体法と手続法とが交錯し、それが国際倒産となると、外国の実体法と手続法との関係まで登場してくる。このような複雑な様相を示す国際倒産現象に対し、従来の研究はあまりに倒産の特殊性を強調し、いわば、倒産によって、平時国際私法は戦時国際私法になってしまうかのごとく、一貫性のない議論がまかり通っていたように思われる。 本研究は、そのような反省から、特に、理論上、国際私法における一般理論との整合性を強調し、その中に自然に収まる形での国際倒産法制を構想した。もちろん、国内の倒産法理論との整合性が必要であり、そうでなければ現実に機能するはずのない理論となってしまう。したがって、当然のことながら、両者のバランスにも意を用いている。 3年間の研究の成果として、本件級プロジェクト参加者は、それぞれの分担に従い、国際私法の一般理論からみた国際倒産法という統一的な視点から、倒産財団の範囲、外国倒産の対内関係、手続面、否認権・双務契約・相殺の準拠法を検討し、分析を行った。 最終目標としては国際倒産法制の新たな体系化であり、本研究プロジェクトはそれに向けての重要なステップとなったと確信しており、より安定した法秩序への一助をなれば幸いである。
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