NGOの国際関係学ー平和,政治社会発展,人間形成における役割の学際的・包括的研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07402003
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 初瀬 龍平 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (40047709)
• 研究分担者: 月村 太郎 神戸大学, 法学部, 教授 (70163780) ; 香川 孝三 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (20019087) ; 松下 洋 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60065464) ; ロニー アレキサンダー 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (40221006) ; 木村 修三 神戸大学, 法学部, 教授 (50153193)
• キーワード: NGO / 開発 / 人権 / 医療 / 労働 / 政治変動 / 国際システム / 政府団体

研究概要

研究の最終年度である平成9年度には、7月に各分担者による研究の進行状況を相互に調整した後に、各分担者の本年度における方針の検討を行った。その際に、一方では、NGOが関わる地域的視点、即ち、ナショナルな視点、リージョナルな視点、そしてグローバルな視点という三層構造の重層、連関を留意する必要性が明らかになった。他方で、民主化、ジェンダー、開発援助、労働運動、医療、教育、環境、民族紛争など、現代の国際社会における争点とNGOの密接な関連性が浮き彫りとなった。
各分担者が、上記の知見を基軸としてそれぞれの研究を更に進めた上で、10月、11月に、それぞれ開発教育、開発協力の専門家を講師として招き、全体研究会を開催した。具体的な演題は「バングラディッシュにおける草の根レベルでのNGOの教育」、「転換期の開発協力NGOーシャプラニールを事例として」であった。こうした全体研究会を通じて、レシピエント側にせよドナー側にせよ当該国家政府の政策がNGOの活動に対して多大に作用していること、NGOの影響力が国境を超えて及ぶ場合があること、更に冷戦時代の終焉に伴いNGOの活動もまた転換期にあることなどが、改めて確認された。
尚、最終年度に当たり、各分担者によって執筆された報告書の内容は、「国際関係研究の新しいテーマ」、「冷戦後の日本の対ラテンアメリカ外交」、「日本の労働組合と国際協力活動」、「保健医療分野におけるNGO活動」、「太平洋地域のNGO」、「民族紛争とNGO」などである。

研究成果

• [文献書誌] 初瀬 龍平: "国家の未来ー変わらぬ部分、変わる部分" 学術の動向. 1月号. 12-18 (1998)
• [文献書誌] Ryuhei Hatsuse: "Sub, Macro and Mega-regionalism in East Asia and the Asia-Pacific" Kobe University Law Review. 31(近刊). (1998)
• [文献書誌] Ronni Alexander: "Regional Cooperation, Regionalism and Security in the Pacific" Kobe University Law Review. 31(近刊). (1998)
• [文献書誌] 松下 洋: "経済的自由主義と政治的民主主義の共存" 外交時報. 1337. (1997)
• [文献書誌] Taro Tsukimura: "Regionalisms in Austria-Hungary" Kobe University Law Review. 31(近刊). (1998)
• [文献書誌] 内田康雄: "サブサハラ・アフリカの開発マネージメント問題" アフリカ・レポート. 22. (1996)
• [文献書誌] 川嶋 太津夫: "高等教育研究・開発の現状と展望" IDEー現代の高等教育ー. 392. (1997)
• [文献書誌] 初瀬龍平(共著): "国際関係キーワード" 有斐閣, (1997)
• [文献書誌] ロニ-・アレキサンダー(共著): "オセアニア・オリエンタリズム? 非核・独立太平洋運動から見る(春日直樹編『オセアニア・オリエンタリズム』" 世界思想社(近刊), (1998)
• [文献書誌] 久米郁男(共著): "はじめて出会う政治学" 有斐閣, (1997)
• [文献書誌] 香川孝三(共著): "NIES&ASEAN労働法の基本問題" 教育社, (1997)