研究分担者 |
山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50182647)
北田 均 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (40114459)
山田 道夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90166736)
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
菊地 文雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40013734)
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研究概要 |
1.一様物体の少量データトモグラフィ 密度一定の二次元図形について二方向からの射影による再構成が一意であることが知られている場合に,その離散化版の実用的な再構成アルゴリズムを与え,かつそれが安定なことを示した.射影函数のリノーマライゼーションのだるま落としを用いたこのアルゴリズムは、Kuba等が与えているものに比してもすこぶる簡明で,凸と限らない図形の再構成に関する計算機実験でも非常に良い結果を与える.今後,一様物体のモーメント問題の数学的基礎付けや,二層密度の物体に対し同様の研究を進める予定である.また一様物体の少量データのトモグラフィに対する最小二乗解の数学的な誤差解析や,最大エントロピー法との精度比較などを研究する予定である. 2.ライスナ-ーシンドラン平板に対する有限要素の開発 中厚平板の弾性モデルであるライスナ-ーシンドラン平板に対して新しい安定化混合型四辺形有限要素を開発した.この要素は平板の厚さを0に近づけたとき,従来の要素のようにロッキングを起こすことなく,Kirchhoffの薄板モデルに漸近することが数値実験で確認され,板の変形の解析にすこぶる有用であると期待されるが,その具体的計算への応用は次年度の課題とする. 3.乱流のカオスモデル 乱流の低次元モデルであるシェルモデルにおいて,乱流と同様の相似則を満たすカオス解を数値的に追跡し,リヤプノフスペクトルを得た.また,これらのリヤプノフ数に対応するリヤプノフベクトルの平均的なフーリエスペクトルを調べ,それが波数空間において特徴的な波数の周辺にのみ大きな値を持つことを見い出した.この結果は,各リヤプノフ数がそれに対応する特徴的波数を持つことを意味している。そこで,この波数に対してKolmogorovスケーリング則を適用して、リヤプノフスペクトルの(アトラクタ次元が大きな極限での)漸近表式を現象論的に導いた.この漸近表式と数値計算結果を比較したところ,次元が数十程度においても,非常に良い一致を得た. 4.積分作用素に適合した双直交ウェーブレットの構成と応用 スケール変換に対して不変な積分作用素に適合する双直交ウェーブレットを構成した.また通常の積分をこれらの積分作用素の積の和として表現し,積分を含むデータ解析への応用を試みた.例として,地震加速度記録からの速度記録の復元作業をとりあげ,この積分操作を双直交ウェーブレットを用いて行なうことにより,データの修正・積分を一貫して行なえる方法を提案した.
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