研究概要 |
電波カメラの開発と野辺山45m鏡内への設置:超伝導素子を利用して40-50GHzで観測可能な2×3ビーム受信機すなわち電波カメラを開発した。受信機雑音温度は20-25Kであった。このカメラの野辺山45m鏡内への設置は97年4月に行われた。搭載した受信機のシステム雑音温度は電波望遠鏡上で測定したところ各々130-160Kであった。そして光学調整後、アンテナの開口能率、および主ビーム能率を測定した。全チャンネルで各々0.4-6,0.6-9程度であった。ほとんどのチャンネルで設計値を達成しているがまだ光学調整が不十分なところの値は悪くなっている。 野辺山45m電波望遠鏡の予備観測:野辺山45m電波望遠鏡はこれまでにスニヤエフゼルドビッチ効果の観測は行われたことがなかった。望遠鏡本体がこの超精密連続波観測に耐えられるかどうか確かめるために予備観測を行うことにした。z=0.171にある銀河団Abell2218のSZ効果を36GHzで観測した。観測は成功し求まったスニヤエフゼルドビッチ効果の大きさはΔT_0=-0.63 ±0.18mKであった。銀河団中の高温プラズマが等温、球形でいわゆるβ-モデルに従うと仮定すると、この観測とX線データから求まるハッブル定数はH0(q=0.5)=54^<+54>_<-22>kms^<-1>Mpc^<-1>になる。 本観測:野辺山45m電波望遠鏡で98年2-3月にスニヤエフゼルドビッチ効果の本観測としてA2218銀河団を43GHzでマッピング観測した。開発した受信機を使用した。ところが、割り当てられた期間は残念ながら悪天候が続き15日間の観測で2日しか快晴の日はなかった。悪天候をおして観測した値はアンテナ温度減少量でΔT0=-0.5±0.2mKであった。この測定値は予備観測と矛盾するものではないが誤差はまだ大変大きい。このためハッブル定数までは決定できない。4月に再び観測する予定である。
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