研究課題/領域番号 |
07404028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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研究分担者 |
尾田 太良 熊本大学, 理学部, 教授 (60108454)
小泉 格 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20029721)
村山 雅史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50261350)
長谷川 四郎 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (90142918)
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
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キーワード | 黒潮変動 / 海洋古環境 / 鉱物組織 / 微化石群集変化 / 酸素同位体比 / 炭素同位体比 / 窒素同位体比 / 日本列島周辺 |
研究概要 |
本研究は、過去2回の氷期・間氷期を含む約15万年前間の気候変化に伴う黒潮変動によって、日本列島周辺の海洋環境がどのように変化してきたかを明らかにすることを目的としている。そのために、日本列島周辺から採取された約15本の海底コアについて、石灰質ナンノ化石・珪藻・底生および浮遊生有孔虫の群集解析、底生および浮遊生有孔虫殻の酸素・炭素同位体比、X線解析による鉱物定量、堆積物の有機炭素量、有機物の窒素・炭素同位体比、さらに加速器質量分析計によるP^<14>C年代測定など、数多くの研究手段を取り入れた解析を行った。その結果、次のような知見が得られ、過去15万年間の日本列島周辺の海洋環境変遷はこれまで以上に詳しく明らかになった。 1.三陸沖のコアでは、黒潮の影響が酸素同位体比のステージ5_1と1で強く、ステージ4〜2ではほとんどなく、ステージ3では時折あった。 2.鹿島灘沖のコアでは、浮遊生有孔虫の群集解析や酸素同位体比から、最終氷期最寒期に表面水温が数度から10°C近くも低下した。 3.日本列島南岸沖のコアでは、アルケノンによる表面水温がステージ2で2〜3°C低下した。また、石英・長石・イライト・有機炭素量が氷期に多く、黄砂の供給量は氷期に多かった。 4.日本列島南岸沖合い(北緯30度)のコアでは、石灰質ナンノ化石群集が過去13万年の間気候変化に対応して変化しているが、生物生産量には著しく変化がなく黒潮の影響を受けなかった。 5.沖縄トラフのコア中の有機物の窒素・炭素同位体比は、いづれも過去4万年間著しい変化を示さず、黒潮がこの海域に過去4万年間流れていたことを示す。 6.日本海秋田沖のコア中の有意物の窒素・炭素同位体比は、これまでに報告された日本海の環境変化と同調しており、有機物の窒素・炭素同位体比は古環境変遷の有力な指標になる。 7:日本海に見られる暗色層の堆積は、グリーンランド氷床コアのDansgaard-Oeshger cycleの温暖期に形成されたことが明らかになった。
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