研究概要 |
本年は、これまでの継続として,近年の顕著な火山噴出物の地質調査とその試料の鉱物組織構造の解析およびそれらの取りまとめをおこなった。また,年度末納入の高温高圧実験装置の準備をおこなった.主な成果は次の2点にまとめられる. (1)雲仙火山噴出物の石基組織解析.1991年噴出の溶岩ドームでのサンプリングをおこない,それらの発泡組織,鉱物組織の解析をおこなった.この噴火は基本的に溶岩の流出が継続し,爆発的噴火は初期に2回あった.石基ガラス中の水の含有量の推定(全岩の含水量と結晶/ガラスのモード解析から)から静かな噴火から爆発的な噴火の遷移が約3MPa程度の溶岩のガス圧で生じることを明らかにした.また,気泡の形態から,マグマ中の水の脱ガス機構としてマグマの流動に伴う気泡の変形合体が重要であることを議論した.これらについては1995年火山学会,有珠国際シンポジウム,で発表した.雲仙岳ドームと比較検討するため,有珠昭和新山,樽前ドーム等のサンプリングを行い,その組織検討から,火砕流を伴うドームと比べてより結晶度が高いことが明らかになった. (2)雲仙およびピナツボ噴出物中の斜長石の累帯構造に関する研究.これらの噴出物中の斜長石はリムで逆累帯構造を呈している.これらのリムは高いMg, Fe量を有し,噴火直前にマグマ混合により液がよりマフィックになったと考えられる。この様なマグマ混合が噴火の引き金になることが考えられる.ピナツボの場合については原稿投稿中である.
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