本研究の目的は高温から低温に至る各種鉱物-水溶液間の反応メカニズムを実験、フィールド、理論研究を通し、明らかにする点にある。そこで、当該年度においては、以下の研究を行った。 1.実験的研究 Au-Ag合金とNaHS (Na_2S)溶液との反応実験を150℃にて行い、Au-Ag合金の組成変化、Ag_2Sの生成メカニズムを明らかにすることができた。Ag_2Sは表面反応律速で生成することが明らかにされた。 2.フィールド研究 熱水-岩石間の反応メカニズムを明らかにするために、秋田県黒鉱鉱床地域の玄武岩の熱水変質に関する研究を行った。変質玄武岩の鉱物組成、化学組成、同位体組成を明らかにすることができた。海嶺熱水系の変質玄武岩の特徴と比較し、背弧海盆熱水系の玄武岩は揮発性にとんでいたために空隙が多く、これが変質作用にとって重要であることを指適した。 3.理論研究 天然における水溶液-鉱物・岩石反応は水溶液の流動する系においてなされる。水溶液-鉱物間の反応速度も重要である。そこで、流動-反応カイネティックスモデルをもとに、天然の変質作用と水溶液の解釈を行っている。現在、地下水-岩石等の解析を行っている。
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