研究概要 |
現代の化学は物性、反応性の理解の基礎を波動関数においている。ノ-ベル賞の福井理論はその一例である。しかし、普通には波動関数は実測されるものではなく、抽象的な概念として捉えられているのが実状である。波動関数を直接測定する手段は殆どないからである。 本研究ではこの波動関数を運動量空間で実測するための(e,2e)分光の確立を目指し、球形電子アナライザーと多チャンネル検出器を利用した測定装置を開発した。その結果、分解能1.5eV運動量分解能0.2au.、測定可能範囲3.5au.の性能の測定装置の製作に成功した。最大の特徴は検出器をマルチ(10)チャンネルにしたことにより大幅な測定時間の短縮を図った点にある。 また、本装置を利用して硫化水素を含むチオール類、およびフランの電子状態の研究を行い、種々の知見を得たが、詳細は文献にゆずる。
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