研究課題/領域番号 |
07404039
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山岸 晧彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70001865)
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研究分担者 |
谷口 昌宏 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30250418)
高橋 正行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50241295)
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キーワード | 粘土鉱物 / 単分子膜 / 電極修飾剤 / 不斉合成 / 自己集積 |
研究概要 |
本研究では、粘土の単分子膜を介して分子オーダーで制御した分子機能膜を人工的に製作することを目指している。今までに以下の2つの方法によってクロロホルムなどの有機溶媒に分散するような粘土・有機複合体の合成を試みた(山岸、谷口)。(i)粘土を長鎖アルキルアンモニウムによってイオン交換して疎水化する。この方法では粘土のシリケート面が全面疎水基によって覆うことができた。(ii)長鎖アルキル基を有するシラノール化剤によって結晶端の水酸基を反応させ疎水化する。これによると粘土の陽イオン交換能は失われずに粘土の端が疎水化された。得られた粘土・有機複合体を有機溶媒に分散して、水面に展開し単分子膜を得ることができた。得られた膜が真に均一な単分子膜であるかどうかあるいは粘土表面の配向の方向などを、表面圧-面積曲線の測定、適当な基板上に積層した多層膜(LB膜)に対する反射赤外吸収スペクトル、X線回折の測定およびAFM観察を行った(山岸、谷口)。さらに原子間力顕微鏡(AFM)による観察によって粘土膜表面の均一性を調べた。さらにこの膜を修飾膜にした電極反応を試みた。今回はじめてナノオーダーで厚さが制御された粘土膜の電極修飾剤としての機能を実現することができた。膜中のキャリアの移動速度を厚さの関数として求めることができた。得られた結果はキャリアの移動機構を明らかにするうえで極めて有用であった。さらに、各種スルフィドのスルホキシドへの不斉酸化を試みた。また、粘土面上での不斉識別機能の発現機構を解明するためSTM観察を行った(山岸、谷口)。以上の研究と平行して本年度における特筆すべき成果として、人工的な合成により金電極表面に自発的に吸着して単分子膜を形成する粘土を得た。(山岸、谷口)。すなわち我々は、従来知られていた無機・有機ハイブリド合成を応用してSH基を含む層状スメクタイト型無機化合物を得た。この層状化合物が金単結晶表面に自己集積して単分子層からなる膜を形成することをAFM観察によって確認した。得られた膜はマイクロキャパシター、単一電子トンネリング等にマイクロデバイスに応用されたことが期待されることが期待される。
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