研究課題/領域番号 |
07404045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大森 正之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80013580)
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研究分担者 |
池内 昌彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20159601)
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キーワード | ラン藻 / アデニル酸シクラーゼ / 自己リン酸化 / cAMP / 赤色光 / 近赤外光 / 情報伝達 |
研究概要 |
昨年に引き続き、糸状性ラン藻Spirulina platensisのアデニル酸シクラーゼの遺伝子でcyaCの解析を行った。cyaCはN末端側から応答レギュレータータンパク質、シグナルセンサータンパク質、応答レギュレータータンパク質、そしてアデニル酸シクラーゼの機能部位が順に並んだ構造をしていた。さらに、CyaCの機能を生化学的な手法で解析するために、cyaCをヒスチジンが6個並んだタグとの融合タンパク質(His-CyaC)として大腸菌を用いて発現させた。精製したHis-CyaCを用いた解析から、His-CyaCが自己リン酸化活性を持つことが明らかとなった。また、部位特異的に変異を導入したHis-CyaCを解析することによって、CyaCはまず、572番目のヒスチジン残基を自己リン酸化し、そのリン酸基を895番目のアスパラギン酸残基に転移すること、このアスパラギン酸残基のリン酸化によってアデニル酸シクラーゼ活性が高くなることが明らかとなった。また、別の種のラン藻であるAnabaena sp.strain PCC 7120のcyaCの破壊変異株の解析から、cyaCが細胞内cAMPレベルの維持に必須の遺伝子であること、また単色光照射によって起こる細胞内のcAMPレベルの変化に重要な働きをしていることを明らかにした。さらに、Anabaena cylindricaに赤色光および近赤外光を照射し、細胞内のcAMP量を測定した結果、赤色光照射ではcAMPレベルが急激に減少し、近赤外光照射では逆に増加が見られた。この変化は、光合成と直接的には関係していなかった。赤色光と近赤外光を同時に照射したところ、それぞれの光の効果が打ち消された。赤色光/近赤外光と連続的に照射したところ、cAMP量は可逆的に変化した。A.cylindricaにはフィトクロムのような光受容体とする光信号伝達系が存在することが示唆された。
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