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1998 年度 実績報告書

サケの回遊の神経内分泌機構:分子内分泌学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 07404046
研究機関北海道大学

研究代表者

安東 宏徳  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60221743)

研究分担者 帰山 雅秀  北海道東海大学, 工学部, 教授 (80305937)
上田 宏  北海道大学, 水産学部, 助教授 (00160177)
キーワード回遊 / サケ科魚類 / 神経ホルモン / 下垂体ホルモン / GnRH / 遺伝子発現 / 産卵行動 / 視索前核
研究概要

サケの母川回帰行動は、生殖を目的とした本能行動であり、その制御には視床下部-下垂体系を軸とする神経内分泌系が重要な働きを果たしている。神経内分泌系による行動制御の分子機構を明らかにするため、神経ホルモン遺伝子の発現調節機構と神経ホルモンの行動に及ぼす影響について解析を行ってきた。10年度の研究成果として、以下のような研究成果が得られた。
1. ヒメマス脳内の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)mRNAの分布を明らかにした。TRHmRNAは嗅球や視索前核、視床下部腹側部、中脳、延髄に分布することから、TRHは下垂体ホルモンの放出の調節だけでなく、嗅覚情報の処理および呼吸に関わる自律神経系の調節に働くと考えられる。また、視索前核のTRHニューロンでは、TRH遺伝子の発現が季節変動することが示唆された。
2. ヒメマスの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)cDNAをクローニングし、ストレスに伴うCRH遺伝子の発現の変化を明らかにした。ニジマスの視索萌核のCRHニューロンにおいて、ストレスに伴いCRH遺伝子の発現が活性化された。また、CRHニューロンに神経葉ホルモンが共存することが示唆された。
3. 石狩川に回帰してきたシロサケを川に入る前に採集し、生殖刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アナログを投与して放流した。その結果、GnRHの投与によって産卵場に遡上する時間が短縮される傾向が得られた。本研究では放流や再補方法などでまだ問題が残されており、成果を報告するに至っていないが、回帰行動解析の基礎的な情報は得られたと考えている。
神経ホルモンの機能を分子レベルで解析するのに必要な基本的な情報がそろったと考えている。本成果を基盤にして、10年度スタートした特別推進研究“神経ホルモンによるサケ産卵回遊制御の分子機構"において、本研究をさらに発展させたいと考えている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ando,H.: "Localization of mRNA encoding thyrotropin-releasing hormone precursor in the brain of sockeye salmon." Zoological Science. 15(6). 953-961 (1998)

  • [文献書誌] Fukaya,M.: "Acceleration of gonadal maturation in anadromous maturing sockeye by gonadotropin-releasing hormone analog implantation." Fisherise Science. 64. 948-951 (1998)

  • [文献書誌] Kaeriyama,M.: "Dynamics of chum salmon,Oncorhynchus keta,populations released from Hokkaido,Japan." North Pacific Anad.Fish Comm.Bull.1. 90-102 (1998)

  • [文献書誌] Kitahashi,T.: "Changes in the levels of gonadotropin subunit mRNAs in the pituitary of pre-spawning chum salmon." Zoological Science. 15. 753-760 (1998)

  • [文献書誌] Ueda,H.: "Lacustrine sockeye salmon return straight to their natal area from open water using both visual and olfactory cues." Chemical Senses. 23. 207-212 (1998)

  • [文献書誌] Ando,H.: "Expression of salmon corticotropin-releasing hormone precursor gene in the preoptic nucleus in stressed rainbow trout." Gen.Comp.Endocrinol.113. 87-95 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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