研究課題/領域番号 |
07404049
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井上 久遠 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30021934)
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研究分担者 |
迫田 和彰 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (90250513)
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キーワード | フォトニック結晶 / フォトニックバンドギャップ / 輻射場 / フォトンモード / 量子制御 / 複合誘電体格子 / 二次元結晶 |
研究概要 |
新たに格子定数が0.88μmの2次元エアロッド格子を製作し、透過率の測定によりそのフォトンモード特性を、1.17μm、1.02μmの格子と比較し、フォトニックバンドギャップがさらに高エネルギー側に移動することを明らかにした。上記の2次元フォトニック結晶に垂直に光を入射させた際に生ずる0次〜n次のブラッグ反射強度の入射波長、偏光、並びに方向依存性を可視光領域から近赤外域の波長範囲に亘って測定した。入射波長によって0次より1次、1次より2次・・・の相対強度が強くなる現象を見い出し、関与するフォトンバンドの対称性、ブロッホ関数の構成成分から理論的に説明できることがわかった。その結果、ブラッグ反射に関するこの特異な現象が、フォトニック結晶のフォトンモードの一つの特性であることが明らかになった。 次に、フォトニック結晶の輻射場と原子・分子との相互作用に関する、世界で初めての実験を行った。すなわち、ごく微量の色素分子を導入し、アルゴンレーザーで励起した際に色素から生ずる発光特性を、自由空間の輻射場の場合と比較した。その結果、2次元面内でバンドギャップに対応した周波数領域で発光が抑制されることがわかった。しかしながら、バンド端での状態密度の増加に伴う発光の増強効果は観測されなかった。おそらく、本質的に3次元系であるためと思われる。さらに、バンド端周波数における群速度測定の予備実験にも着手している。 一方、最新の半導体蒸着、加工技術による3次元系のフォトニック結晶の作成準備を行った。目標とする単純立方格子の作成を目指して、設計条件を把握するためにスケーリング則を利用してサブミリ波領域の3次元格子を超音波加工技術により試作した。すなわち、格子定数が1.3mm、0.5mmで空気の占有率が0.8の3次元単純格子を、それぞれゲルマニウムとシリコンを材料にして作成し、現在、サブミリ波領域で透過率の予備実験に着手した。この結果を基に、光の領域での結晶作成に着手する。
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