研究課題/領域番号 |
07404051
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野崎 義行 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70126142)
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研究分担者 |
天川 裕史 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60260519)
石塚 明男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (80107458)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70143550)
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キーワード | 物質循環 / 質量分析 / 日本海溝 / 伊豆・小笠原海溝 / セジメント・トラップ / インジウム |
研究概要 |
日本海溝および伊豆小笠原海溝など巨大水深をもつ海溝系および孤立海盆における物質循環過程を明らかにすることが本研究の目的である。このような海溝域は7000mを超す水深と帯状V字谷の地形的特徴から物質の収束域として重要であり、孤立海盆と同様に通常の深海とは異なる海洋環境を形成しているものと思われる。しかし、海溝の系統的な海洋学的、地球化学的研究はこれまでほとんど行われていず、知識の空白部となっている。これまでの白鳳丸航海(KH-94-3次)で、日本海溝および伊豆小笠原海溝から海水、堆積物、粒状物質などの多数の試料を採取し、これまでに分析、研究を進めてきた。また、昨年度はスル海、アンダマン海などの孤立海盆を含む、インド洋海域でも地球化学的研究を実施した。本年度は新たに日本海、オホーツク海などにも新たに研究を展開する。 本年度得られた成果は以下の通りである。 1)伊豆・小笠原海溝と日本海溝における放射性核種および微量重金属の鉛直分布の測定結果をとりまとめ、学術誌(Oceanologica Acta)に論文を公表した。 2)日本海溝セジメント・トラップ実験の試料を用いて希土類元素の分別溶解実験を行い、粒子のスキャベンジングについて考察した。その結果を学術誌(Earth Planet Sci.Lett.)に公表した。 3)ICP質量分析による希土類元素、およびInの分析を継続して行った。その結果、In濃度が北太平洋、北大西洋および地中海で大きく異なることを見いだし、現在論文を作成中である。 4)海水中のNd同位体比の測定を進め、その鉛直分布と海水循環についての考察を進めた。 これらの結果は、他に例のない新鮮なデータであり、最終年度にあたる本年度は総合的にとりまとめ、冊子体の報告書として公表する予定である。
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