研究概要 |
本研究では、花序形態形成に関わる突然変異のうち、特にerecta, acaulis5突然変異を解析した。 acaulis5変異体の解析:この変異体は、生殖成長期に入ってからの表現型の出現が顕著で、花茎伸長欠損・普通葉展開の停止などを示す。花茎伸長停止期あたりの細胞切片は、髄の部分の分化が不完全であることを示した。茎の伸長には、髄の部分が必須であると植物解剖学で教えられるとおりである。マイクロチュブルを、蛍光顕微鏡観察すると、伸長欠損の典型的な像が得られた。伸長欠損の分子的基礎を明らかにするために、細胞伸長に関連した遺伝子群の発現をNorthernハイブリド法を用いて解析した。多種のTubulin遺伝子は、発現に変化がなかった。tonoplast intrinsic protein遺伝子とendoxyloglucan transferase A1遺伝子は、変異体で発現が大きく低下していることを見いだした。前者は、液胞の水チャンネルタンパク質と考えられ、後者は、細胞壁伸長のための繋ぎ換えに必須である。一方、細胞膜の水チャンネルタンパク質のRD28遺伝子は発現が野性型と変わらないことを見いだした。この結果は、ACAULIS5遺伝子は液胞の増大・細胞壁の進展に関わる調節因子の遺伝子である可能性を示唆している。 ER遺伝子の発現調節領域をレポーター遺伝子作成・トランスジェニック植物作成、という方法で解析し、部位特異的発現に必要なcis領域を同定した。酵母などの実験系を用いてこの領域に相互作用するtrans因子の候補遺伝子を幾つか単離した。
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