研究概要 |
ウシガエルコラーゲンについては、前年度にクローン化したウシガエルI型コラーゲンのα1,α2鎖cDNAを用いて各組織における発現レベルをノザンブロット法により詳細な解析を実施した。この結果、ウシガエル幼生尾部におけるI型コラーゲンα1,α2鎖遺伝子の発現は、甲状腺ホルモン投与後から3日目にかけて一端発現が抑制され、その後再び発現量が増大することが明らかとなった。この応答の機作は、甲状腺ホルモン投与により、コラーゲン遺伝子の発現が抑制される応答とプロラクチンの分泌量が増大するものと考えられる。この成果をまとめた論文を投稿し、現在査読を受けている。アカハライモリcDNAライブラリよりPCR法によりコラーゲン遺伝子の断片を単離した。得られた断片の1つは1374塩基対の長さを持ち、I型コラーゲンのα1鎖をコードすることが明らかとなった。また、この断片をプローブとして用いたノザン解析の結果から、イモリのI型コラーゲンのα1鎖mRNAは、他の脊椎動物同様に約5500塩基の長さを持つものであることが判明した。 さらに、アフリカツメガエルのカテプシンゲノム遺伝子の転写開始点上流域の検索を実施し、そこに甲状腺ホルモン応答配列に類似する配列を見いだした。この配列を含むゲノム断片は、組換え型ツメガエル甲状腺ホルモンリセプターと特異的に反応することを確認した。この配列が甲状腺ホルモンレセプターと直接作用することから、カテプシンD遺伝子が甲状腺ホルモンの直接支配下にある可能性が強く示唆された。この配列とウシガエルコラゲナーゼ遺伝子の類似配列が転写制御活性を有するか否かを明らかにするため、現在レポーター遺伝子と接続し、ツメガエル培養細胞に形質転換を行う準備を整えている。
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