本年は本研究の最終年度であり、4年間の研究の集大成を行った。即ち、本研究にて構築した超音速分子線散乱装量を用い、通常の熱平衡状態では実現不可能な非熱平衡な構造(超構造)を人為的に固体表面上に創製する研究を行った。メタンやエタンなどのアルカン分子線を白金単結晶表面に照射し、メチル基やエチルダイン基、さらにはグラファイトを形成せしめ、その発現する物性の代表例である仕事関数の計測を行った。また、加速したH_2O分子をPt(111)単結晶表面に照射すると、衝突解離によって得られた高エネルギーの水素原子が表面を再構成して、今までに得られたことがなかった(2x2)構造を作り出すことも明らかになった。本研究により分子線のエネルギーを制御することにより照射分子の衝突解離過程を制御する事が可能であることを明らかにした。
|