平成9年から開始された本研究では、超音速分子線散乱装置を設計・製作し、典型的な絶縁物材料であるLiF単結晶表面からのHe原子線の回折散乱による構造及びフォノン計測に成功した。また、可変エネルギのCH_4分子線を用いたLiF単結晶表面におけるレインボー散乱を含む非弾性散乱過程の解析に成功した。さらに、化学反応の基礎に関する多くの研究成果を報告してきた。特にアルカン分子のメタン及びエタンを対象にして単色度が高くエネルギーを大幅に変えることの出来る超音速分子線散乱技術を用いて上記の各チャンネルを詳細に検討した結果、これらのガス分子がPt(111)単結晶表面でメチル基(あるいはエチルダイン等の中間体)や炭素及び水素に解離する過程のマクロ的な描像を描くことが出来るに至った。また、加速したH_2O分子をpt(111)単結晶表面に照射すると、衝突解離によって得られた高エネルギーの水素原子が表面を再構成して、今までに得られたことがなかった(2x2)構造を作り出すことも明らかになった。
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