研究課題/領域番号 |
07405003
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (10188790)
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研究分担者 |
大塚 信雄 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80111649)
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キーワード | 原子分解トンネル分光法 / [111]方位W探針 / 走査型トンネル顕微鏡 / 走査型トンネル分光法 / build-up処理 / 電界放射顕微鏡 / 電界イオン顕微鏡 |
研究概要 |
「確実に原子分解能で空間的な差異と電子状態の差異を対応づける手法」である原子分解トンネル分光法(Atom Resolved Tunneling Spectroscopy:ARTS)を確立するために、走査型トンネル顕微鏡(STM)/走査型トンネル分光法(STS)の性能を向上させ、従来、再現性のあるデータの取得が難しかったトンネル分光法を改良し、原子スケールでの表面電子状態を解析してきた.本研究では、[111]方位のW線から作製した探針を、超高真空中で加熱すると同時に高電界を印加し、探針先端の原子配列・原子種を制御する"build-up"処理した探針を用いた.本年度では、本手法を応用して、Si(001)面上に蒸着した微量のSi、Ge原子ダイマー列が示す電子状態を調べ、また、見かけ上のトンネル障壁がどのように変化するか調べた.この解析において、ステップ端で探針の軌跡であるトポグラフィックな位置効果が顕著に現れること、見かけ上のトンネル障壁の2次元マッピングではその効果が少ないことを明らかにした.また、このbuild-up探針を利用して、試料からわずかに探針を引き離して、電界電子放射源として働かせ、STM走査領域を電子励起する実験をおこなった.その照射領域から放出される散乱電子のエネルギースペクトルを複合化した装置で分析し、バルク・プラズモン損失、オージェ過程放出電子を捉え、表面の組成分析に新しい手法を導入した.このときの分析領域の空間分解能は、電界電子の放射角度からnmサイズまで可能であると予測した.また、原子間力顕微鏡(AFM)による力-距離依存性曲線から、表面の組成やその性質を調べるために、探針の真空中での前処理の効果を調べた.本研究では、これら装置を複合化していて、表面解析が多角的におこなえるようになった.
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