研究課題/領域番号 |
07405004
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
出澤 正徳 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 教授 (70087435)
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研究分担者 |
施 衛富 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 助手 (10282906)
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キーワード | 3次元錯視 / 動的錯視 / 両眼立体視 / 立体知覚 / 面の分離・融合 / 錯視対象の干渉 / パントマイム効果 / 構成的運動 |
研究概要 |
本研究の最終目標は、錯視現象を心理学的なプローブとして、人間の視覚システムにおける3次元空間知覚のメカニズムを探り、その数理的モデルを構成し、視覚メカニズムの解明に貢献することである。このため、本年度は、特に、視覚刺激が運動する場合についての新しい動的錯視現象を探索し、視覚のメカニズム解明のための心理物理学的プローブの開発とその応用を図ることを目的として研究を進めた。前年度に導入したグラフィックスコンピューターのメモリを増強し、視覚刺激生成用ソフトウェアの開発・整備を行った。これにより、昨年度の研究で新たに見出された複数の運動対象の群化現象、構成的運動知覚の現象および透明錯視対象の知覚におけるパントマイム効果についての検討を深めた。その結果、パントマイム効果は3種類(前面支持、背面支持、側面支持)の支持手がかりに分類でき、それらの中で側面支持手がかりの存在が体積的な透明視覚に不可欠な要因であることが確認された。また、互いに構造が異なる複数の状態間を移り変わる3次元錯視表面の知覚において認められた構造遷移のヒステリシス現象については、定量的な計画によってその存在が確認された。さらに、同一画面上で水平方向に運動する2群のランダムドットパターンの観察において、運動する向きにより奥行き関係が異なって知覚される現象が新たに見出された。どちら向きに運動する方が奥側に知覚されるかは被験者間で異なるがそれぞれの被験者については極めて安定であり、これまでの知見では全く説明できないものである。 これらの新しく見出された動的錯視現象の背後には、さらに多くの未知の現象が隠されており、視覚システムにおける空間知覚メカニズムを解明してゆく上で有力な手がかりが潜んでいると推測される。来年度はこれらについての検討をさらに深めるとともにその周辺の現象の探索を進展させてゆく計画である。
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