研究課題/領域番号 |
07405005
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河田 聡 大阪大学, 工学部, 教授 (30144439)
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研究分担者 |
高松 哲郎 京都府立医科大学, 助教授 (40154900)
重岡 利孝 大阪大学, 工学部, 助手 (10263211)
川田 義正 大阪大学, 工学部, 助手 (70221900)
中村 収 大阪大学, 工学部, 助教授 (90192674)
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キーワード | レーザー・トラッピング / ニアフィールド顕微鏡 / 摩擦力 / 有限差分時間領域法 / 3次元微細加工 / 紫外線硬化樹脂 / 2光子吸収 |
研究概要 |
本年度は、まず、レーザー・トラップされたプローブを用いたニアフィールド光学顕微鏡(LT-NSOM)を試作した。さらに、試作した顕微鏡を用いて、試料表面の摩擦力の分布を測定する手法を提案し、実際に、ガラス及びPMMAの表面の摩擦力測定を試みた。提案する手法においては、光の放射圧よって、微小球を試料表面に押しつけ、このとき、試料を走査することによって生じる微小球の位置の変位量から、試料表面と微小球との間に生じる摩擦力を求める。実験では、プローブのトラッピング用光源として、近赤外レーザー(YLFレーザー:出力強度=2.3W,波長=1047nm)を用いた。光源からの光を、落射顕微鏡の落射光学系によって、サンプル中に分散させたポリスチレン球(直径=1μm)に集光し、ポリスチレン球を試料表面に押しつけた。試料との摩擦によるプローブの変位は、プローブの像をCCDカメラで観察することによって求めた。その結果、プローブを試料に押しつける力を強くするほど、摩擦力が大きくなることを確認した。このことから、提案する手法が、摩擦力測定に有効であることがわかった。 さらに、LT-NSOMのプローブとして、安定かつ位置精度高くトラップされ、かつ先端径が小さくしかも散乱効率が高いというプローブの作製するための技術として、2光子吸収を利用した3次元微細加工法を提案し、基礎実験を行った。実験では、モードロックTi: Sapphireレーザー(発振波長:790nm)を紫外線硬化樹脂中に集光し、集光スポット部分で2光子吸収を起こし、スポット部分の紫外線硬化樹脂のみを選択的に硬化させた。集光スポットを樹脂中で走査することにより、3次元微小構造体を形成した。3次元微小構造体の例として、直径6μm、奥行き方向の間隔8.7μmのらせん構造体を形成した。試作したシステムの加工分解能は、レーザー光を1点に集光した際に硬化する樹脂の領域によって決定され、現在までに、面内方向、光軸方向ともに、約1μmの加工分解能を確認した。 また、最適なプローブの形状を設計するために、任意形状のプローブに生じる放射圧を解析する手法の開発を行っている。現在、その手法として、有限差分時間領域法(FD-TD法)を用いた3次元電磁場解析を行っている。
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