研究概要 |
生体表面の熱・変位情報を用いて,生体内部の硬組織に発生している応力やひずみ量を推定する方法論を明らかにすることから,次のような研究を実施した. 1.生体膝関節部を対象として,これの大腿骨部をエポキシ材,軟骨部をエポキシラバー,人工脛骨部をアルミニウム,軟組織部をすべてシリコンゴムに置き換えた2次元実験モデルを試作した.さらにこれに引張,圧縮等の種々の負荷重の作用させれる装置を考案した. 2.1の生体膝関節モデルがある負荷を受けた時の,生体軟組織(シリコンゴム)表面の変形状態をビデオ画像として記録し,そのデータを画像解析することによって,表面の正確な変位分布の実時間情報を求めるシステムを開発した.またこれと同様の温度分布情報を求めるシステムも検討した. 3.生体膝関節を構成するすべての材料特性と,その幾何学的形状が与えられたとして,それに任意の負荷が作用したときの各部の変位,応力およびひずみ分布を解析するFEM手法を開発した.特に生体モデルが2次元的なものと考えた場合のFEMと完全3次元に対応する場合をそれぞれ別個に開発し,その有効性を数値例を通して明らかにした. 4.2の実験モデルによって得られる生体軟組織表面の変位分布に対応した生体内硬組織の力学的条件を,3のFEM理論を利用して推定する具体的方法の研究を試みた.つまり硬組織の力学的条件を仮定し,それによって得られる生体表面変位が測定値と一致するように仮定した力学的条件を修正する方法であり,この方法の有効性が実験モデルを通して明らかとなった.
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