研究概要 |
「多孔質シリコンの可視発光機構の解明」および「シリコンを基本とした新しい光集積工学の学術基盤の確立」を目的とする研究を行い,初年度において以下の成果を得た。 1.発光特性および光学特性の制御方法の確立 試料作成中の光照射および外部磁界の支援に基づくシリコン粒径の微細化と均一化により,PL発光色の可視域(赤〜青)連続制御と発光効率の向上を実現した。また,試料作成条件を考慮した屈折率制御法を開発し,シリコン光導波路・光共振器の基礎技術を確立した。 2.基礎物性の解析 上記の方法により作成した試料について,電子構造,格子構造,電気的.光学的性質などのキャラクタリゼーションを行い,バンドギャップワイドニング,シリコン微結晶におけるフォノンを閉じこめを検証するとともに,微結晶形状とPL発光効率との相関をつきとめた。 3.PLおよびEL発光機構の解明 PLの直線偏光保存効果,PL発光特性に対する電界効果,PL励起と光導電,表面終端と発光との関係,注入ELの動的挙動などを解析し,量子閉じこめと表面終端との相補的関係,発光スペクトル幅の広がりの原因など,発光機構の本質に関わる事項を明らかにした。 4.シリコン光集積の要素技術 シリコンのみによる光導波路,光共振器の設計・試作を行い,基本動作の測定・解析を通して多孔質シリコンの有用性を確認した。また,シリコン発光ダイオードにおける冷電子放出現象,MIS形トンネルダイオード特性など,今後の進展につながる新しい特性を見いだした。
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