研究分担者 |
大沼 繁弘 (財)電気磁気材料研究所, 研究員 (50142633)
嶋 敏之 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50261508)
小尾 俶久 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005925)
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00187981)
三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20250813)
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研究概要 |
金属-絶縁グラニュラ合金は、磁性金属粒と絶縁体粒界相からなり、電気伝導は特有のトンネル効果によっている。この系における巨大磁気抵抗は、近年盛んに研究されている一連の巨大磁気抵抗(GMR)の中でも全く新しいものであり、物理的新奇性と応用上の両方から極めて注目されている。そこで本研究初年度には、基礎的振舞いを捉えることに主眼をおき研究し、以下の成果を得た。 (1)高周波スパッタ装置により、Co-Al-Oグラニュラ合金に加えて、新たにCo-Si-O,Co-Mg-O,Fe-Al-O,Fe-Si-O,Fe-MgO,Fe-RE-O(RE:Rare Earth),CoFe-Al-O系の試料を作製した。これらにより、酸素との化学親和力がグラニュラー構造を決定する主要因子であることが分かった。また、磁性相のスピン分極率の立場からは、Fe系の方が大きなGMRを示すことが予想されたが、Fe酸化物の生成を示唆する特異な振舞いが見出され、この影響により現在のところ明確な結論は得られていない。 (2)電子顕微鏡によるナノ構造解析の結果から、磁性金属粒と絶縁体相の境界が明瞭で、かつ、磁性金属粒サイズおよび絶縁相厚が小さいものほど大きなGMRを示すことが分かった。 (3)電気抵抗の温度変化の解析より、比抵抗に比較して、そのトンネル活性化エネルギーが大きい場合に大きなGMRを示すことが分かった。このことは、明瞭な相分離構造や薄い絶縁相等によって理解され、ナノ構造解析の結果と一致している。 (4)磁化過程の詳細な測定・解析により、隣合う磁性粒子間の磁化はほとんど結合していないことが分かった。すなわち、これらのグラニュラー構造薄膜はある臨界温度以上で超常磁性、以下で磁気異方性によるランダムな磁化状態となり、外部磁場により磁化が揃えられる過程でGMRを生じている。
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