研究課題/領域番号 |
07405030
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤森 啓安 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60005866)
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研究分担者 |
大沼 繁弘 (財)電気磁気材料研究所, 主任研究員 (50142633)
嶋 敏之 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50261508)
小尾 俶久 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005925)
高梨 弘毅 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00187981)
三谷 誠司 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20250813)
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キーワード | グラニュラ合金 / Co-Al-O / Fe-Mg-O / スピン依存トンネル効果 / 巨大磁気抵抗 / 超常磁性 / 帯電効果 / コトンネリング |
研究概要 |
金属-絶縁グラニュラ合金薄膜は、磁性金属微粒子と粒子間の絶縁相からなっており、スピン依存トンネル効果に起因する特異な巨大磁気抵抗効果を示す。本研究では、この現象の解明により、トンネル型巨大磁気抵抗の一般的性質に関する理解、および、微小構造体の磁気伝導現象の研究の新展開に寄与することを目指した。また、この系の特徴である高電気抵抗を活用し、磁気センシング材料等への応用研究も行った。 Co-Al-Oグラニュラ合金薄膜を中心に、高分解能電子顕微鏡等による微細構造解析、トンネル伝導の測定・評価、磁化過程の測定およびシュミレーションを行い、磁気抵抗の振舞いと比較検討した。その結果、巨大磁気抵抗発現のメカニズムは、基本的には強磁気性トンネル接合と同様であることが明らかになった。しかし一方で、低温における磁気抵抗の異常な増大効果や電気抵抗および磁気抵抗の異常なバイアス電圧依存症を見出した。Fe-Al-O系の低温での磁気抵抗効果は30%を超える大きさである。系統的な測定と理論的検討より、この増大は磁性金属微粒子の帯電効果を原因とする高次のトンネル効果によるものであることを知見した。このような帯電効果に関連する異常な振舞いは、グラニュラ系に特有のものであり、微小構造体の磁気伝導現象として極めて興味深いものである。また、応用上でも、磁気抵抗効果を大きくする指針となり重要である。 上記の基礎物性に係わる成果に加えて、グラニュラ系の巨大磁気抵抗の磁場感度を飛躍的に向上させることにも成功した。これは、軟磁性金属と金属-絶縁グラニュラ合金を微細ハイブリッド化(GIG構造)することによって達成されたものであり、金属-絶縁グラニュラ合金の高電気抵抗が活かされたものである。軟磁性金属としてパ-マロイを用いた場合には、数Oeの微小磁場で磁気抵抗変化を発現し、高性能磁気センサーや磁気記録ヘッドへの応用が期待できる。
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