研究概要 |
(1)液体急冷法で作製したアモルファスNi-Zi-WおよびNi-Zr-P合金を触媒前駆体とし,水蒸気によるクロロフルオロカーボンの分解反応を行った。アモルファスNi-Zrニ元合金を前駆体とした触媒では活性種の分布が不均一となり失活するが,三元合金化するとそれが緩和され,長時間高活性を保った。 (2)塗布分解法を用いてマンガンを含む複酸化物をチタン板上に作製して電極とし,海水電解による酸素発生効率を検討した。その結果,Mn-MoおよびMn-W複酸化物電極ともに約90%の酸素発生効率で,塩素の発生が抑えられることが分かった。 (3)本研究費で購入した特殊スパッター装置を用いて,アルミナ粉末上に微量のPdを含むアモルファスNi-Ta合金を被覆し,これを触媒前駆体としてNOのN_2とO_2への直接分解反応を行った。この触媒は,液体急冷法によって作製したNi-Ta-Pd合金を前駆体とする触媒より約50倍大きい比表面積を有し,NOと活性種であるPdとの接触面積が増加して高い接触活性およびN_2選択性を示した。今後,実用化のためにO_2存在下における活性低下に対する対策を検討する予定である。 (4)Ni-Zrに第3元素として希土類元素(Y,Ce,Sm)を添加したアモルファス3元合金を液体急冷法で作製し,これを触媒前駆体としてCO_2をH_2との反応によってCH_4へ転換し,その転換率を検討した。その結果,特に低温域(200℃前後)での著しい活性の向上が見られた。この触媒の活性は,分散した金属Niが準安定な正方晶ジルコニアに担持されている場合に高く,添加した希土類元素はこの正方晶ジルコニアの安定化を促していることが明らかとなった。
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