研究概要 |
1. NOx分解用触媒 酸素存在下でのNOの直接分解反応に対して,アモルファスNi-Ta-Pd合金への添加元素の効果について調べた結果,少量の鉄とともに,数%の亜鉛の添加が有効であった.しかし,銅,マンガンやコバルトの添加は逆に反応下でPdOを安定化させることにより活性を低下させた.炭化水素を用いたNOの選択還元に対してアモルファスNi-Ta-Pd合金は通常の含浸法で作製したPd/NiTaO_6触媒よりも高活性であり,使用したメタン,プロパン,プロペンの中ではプロパンの使用が最も高い変換率を与えた.この場合,約300℃というかなり低い温度で最も高い変換率が得られ,これより高温では酸素と炭化水素の反応が優先的に起こった. 2. 海水電角用電極触媒:海水電解用アノードとして塩素を発生せずほぼ100%の酸素発生効率を示すアノード電着マンガン-モリブデン酸化物電極の耐久性について検討した.高い酸素発生効率はMnO_2電極よりもはるかに長時間維持されたが,しだいに低下する傾向を示した.これはマンガン-モリブデン酸化物がIrO_2/Ti基板より部分的に剥離することが原因であり,電解電位がMnO_2がさらに酸化され,過不働態溶解する電位でありながら,電気化学的な溶解はほとんど起こらないことが判明した.電着条件を検討した結果,90℃という高い温度,低いpHの溶液中で高電流密度で盛んに酸素を発生させながら電極を作製することで高耐久性電極が得られた. 3. CO_2の、メタン化触媒:高活性なアモルファスNi-Zr-Sm合金を前駆体として作製した触媒と同等の活性を期待して含浸法でNi/ZrO_2およびNi(Zr-Sm)O_x触媒を作製してその活性を評価した.アモルファス合金触媒と同様に含浸触媒でもサマリウムの添加により正方晶ZrO_2が安定化されて活性が大きく向上したが,その活性はアモルファスNi-Zr-Sm触媒までは及ばなかった.含浸法では均一固溶体であるアモルファス合金を出発物質とする場合のように均一に多量のニッケルを分散させることが困難であることが原因と考えられる.
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