研究課題/領域番号 |
07405035
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平野 敏右 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70007615)
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研究分担者 |
石塚 悟 広島大学, 工学部・機械系, 助教授 (70129162)
土橋 律 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30237177)
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キーワード | サーモフォレシス / 熱泳動 / 微粒子 / 温度勾配 / 粒径測定 / レーザードップラー法 / I-MAX法 |
研究概要 |
本研究では、サーモフォレシス(熱泳動)効果の定量的データの蓄積および的確な理論の構築を目的として、実験的解析、理論化およびシミュレーションをおこなっている。平成8年度の研究実績を以下にまとめる。 (1)熱泳動速度測定場の形式(サーモフォレシス測定装置の調整) 温度場が単純で、気体流動が無い測定場が理想的であるが、温度勾配を大きくすると容器内に対流が発生することがわかった。これは、壁面(ガラス窓)付近の気体温度の低下による浮力の発生によるものである。誘起される速度が、上下の壁面間の距離dの3乗および壁面の大きさlの逆数に比例することを流体力学的計算から明らかにした。本装置では壁面間隔を2〜1mm以下とすべきことを見いだした。 (2)レーザードップラー型粒子速度・粒径測定装置の調整 本装置を用い、開放系で粒径1〜80μmの粒子について速度・粒径の同時測定が可能であることを確認した。ガラス窓を通した容器内の測定では、ガラス窓による屈折を考慮に入れた調整を実施した。(1)で述べたように、流動抑制のため壁面間隔を2〜1mmに狭めるため、レーザービームが壁面で遮蔽されてしまう問題が生じる。レーザービーム導入経路の確保のため容器改造中である。 (3)熱泳動速度測定 上記のように粒子速度・粒径測定装置の使用が難しいので、粒径既知の粒子を用いてCCDカメラによる拡大観察により熱泳動速度を測定した。粒径1〜30μmのSiO_2および5〜30μmのPMMAの粒子について90K/mmまでの温度勾配中で測定し、再現性の良いデータを得た。測定値は、過去の理論式、実験式に比べて大きな値となった。温度勾配や粒径に対する依存関係も過去の式とは異なっていることがわかった。 今後の課題として、容器を改造し粒子速度・粒径測定装置を用いて種々の粒径の粒子に対する多量の測定データを収集すること、多数の測定データを用いて新しい妥当な実験式の構築・理論式の検討をおこなうことが挙げられる。
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