研究課題/領域番号 |
07405037
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 智行 京都大学, 工学研究科, 教授 (60025989)
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研究分担者 |
岩本 伸司 京都大学, 工学研究科, 助手 (50252482)
竹口 竜弥 京都大学, 工学研究科, 助手 (30227011)
井上 正志 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30151624)
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キーワード | メタン改質反応 / 水素製造 / 合成ガス合成 / 超高速変換反応 / 非線形現象制御 / Ni系複合触媒 / 廃熱利用 / 触媒燃焼 |
研究概要 |
水素は、石油精製、アンモニア合成、メタノール合成など、主要な化学工業の基本原料として求められるほか、石炭の液化や二酸化炭素の有用物質への変換のためにも、今後ますます膨大な需要が必要となる。また、水素燃料としての需要が起こればさらに重要性が増す。しかし、現在の水素の工業的製造は、担持Ni触媒を用いるメタンの水蒸気改質によっているが、900℃付近の高い炉温を要する上、触媒表面上へのコ-クの析出が避けられず、これが反応速度を著しく低下させるため生産速度は遅くしかも触媒の再生を必要とするなどの問題があって、上記のような大量の需要の増加に対応できないので、抜本的な触媒技術の革新が待たれている。 本研究では、研究代表者らが長年にわたって研究してきたCO_2の超高速メタン化触媒や水素の超高純度触媒の実績の上に立って、これらの触媒をさらに改善した四元複合触媒を開発した。この触媒は、Niを主成分として、これに少量のCe_2O_3とと微量のPtおよびRhをセラミックス繊維の不織布上に配したものである。この触媒では、水素が極めて速やかに触媒表面に供給される性質のため、コ-クの蓄積が防がれ反応抑制も劣化も伴わないため、従来の一万分の一の触媒時間に当たる3ミリ秒でもメタンの改質反応は平衡に達する。しかし、低温域では反応の平衡にはばまれてメタンの転化率を上げることができない。そこで本研究では、工場の廃熱が利用できるような300〜400℃級の低い炉温でありながら、同一触媒表面上で、メタンよりも燃焼し易いエタンやプロパンを触媒燃焼させ、その大きな発熱でメタン改質反応の大きな吸熱を補うとともに、触媒温度を炉温よりも大幅に上昇させて、メタンの改質反応による転化を飛躍的に誘起させることができた。これにより、水素と一酸化炭素を等モル比で、触媒1リットル当り、毎時25,000モルという空前の速度で合成することができた。
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