研究課題/領域番号 |
07405040
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鈴木 喬 山梨大学, 工学部, 教授 (60020385)
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研究分担者 |
阪根 英人 山梨大学, 工学部, 助手 (50252010)
初鹿 敏明 山梨大学, 工学部, 講師 (50020417)
木野村 暢一 山梨大学, 工学部, 教授 (50029732)
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キーワード | トバモライト / ゾノトライト / 抗菌 / イオン交換 / 水熱合成 / 銀イオン / 環境対話型 |
研究概要 |
トバモライトCa_5Si_6H_2O_<18>・4H_2OとゾノトライトCa_6Si_<16>O_<17>(OH)_2を、CaCO_3を1000°Cで3時間加熱して得たCaOと触媒化成工業製SI30を乾燥して得たSiO_2ゲルを用いて、170°Cから190°Cでの水熱反応により合成した。これらには、X線回折と熱重量分析、ならびに赤外吸収スペクトルによりいずれにもわずかにCaCO_3などの副生成物があることが見られた。トバモライトはAg^+とのイオン交換反応において反応初期にAg_2CO_3を生成し、ついで層間のCa^<2+>と、最後に層内のCa^<2+>と交換した。Cu^<2+>との反応では塩基性硫酸銅として沈殿しイオン交換反応を示さず、Zn^<2+>との反応ではCa^<2+>と理想的なイオン交換反応を示した。ゾノトライトはAg^+との交換反応で反応初期にAg_2CO_3とAgOを生成し、その後層内のCa^<2+>と交換した。最大交換量はトバモライトよりも小さくなった。Ag^+、Cu^<2+>、ならびにZn^<2+>を含有させたトバモライトについて、最少発育阻止(MIC)濃度の測定により殺菌作用の試験を行った。その結果、銀含有トバモライトは大腸菌などに対し1.2-6.0ppmの濃度で発育を阻害し、Cu^<2+>やZn^<2+>を含有したものに比べて20-100倍の殺菌効果を持つことが確認された。この銀による殺菌効果はAg^+の溶出をまったく示さない銀含有テニオライトにおいても見られることから、溶出Ag^+の量を減少させても抗菌性に影響を与えないと考えられる。今回開発した銀含有トバモライトではAg^+の溶出が将来設定されるであろう規準値の50ppmを大きく上回っているが、これは主に副生成物である炭酸銀の溶出であるので反応条件を再検討し、さらに焼成するなどの処理を加えることで抑えることができると思われる。そのような改良を加えることで、銀含有トバモライトは耐熱性に優れ人体や環境に対して安全な抗菌剤として利用できるものと考えられる。
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