研究課題/領域番号 |
07405040
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
鈴木 喬 山梨大学, 工学部, 教授 (60020385)
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研究分担者 |
阪根 英人 山梨大学, 工学部, 助手 (50252010)
初鹿 敏明 山梨大学, 工学部, 講師 (50020417)
木野村 暢一 山梨大学, 工学部, 教授 (50029732)
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キーワード | 銀担持組成変換水酸アパタイト / ウイルス / 細菌 / 不活化 / 殺菌 |
研究概要 |
格子イオンイオン交換体である水酸アパタイトにウイルス不活化効果がある銀イオンを担持させた組成変換銀担持アパタイトを数種試作し、その水中ウイルスおよび細菌に対する不活化効果を基礎的に検討した。水中ウイルス・細菌の不活化(殺菌)効果の測定に用いた微生物は、性状の類似性等から現在水中ウイルスの指標微生物となっている大腸菌ファージQβ、大腸菌(E.coliJCM1649)、黄色ブドウ球菌(S.aureus FDA 209P)である。 まずウイルスに対する不活化効果であるが、各銀担持アパタイトとも撹拌時間が長いほど、すなわち接触時間が長いほど生残率は減少し、この傾向は担持量が多いアパタイトほど顕著であり、最も銀の担持量が多いAGAP5(添加銀濃度35.9ppm)では撹拌120分後の生残率が0.08%となり、かなりの不活化効果を期待できることが明らかとなった。次に殺菌効果であるが、ウイルスよりもはるかに高い効果が認められ、添加銀濃度を0.36ppm以上とすれば大腸菌は添加30分後から生残率は0%であり、黄色ブドウ球菌は添加90分後から生残率は0%なり殺菌に要する時間が異なるが完全に殺菌できることが明らかとなった。 また、各銀担持アパタイトを10mg添加した系の添加120分後における溶出銀濃度を測定した結果、完全殺菌ができたAGAP3では0.015ppmであり、AGAP4では0.14ppm、AGAP5では0.50ppmであった。対照実験として硝酸銀を添加し各銀濃度とした場合不活化・殺菌効果を測定したところ、大腸菌および黄色ブドウ球菌の生残率は0.05ppmでは各々3.45%、20.6%であり、ウイルスの生残率は0.50ppmで31.3%であったことから、銀担持アパタイトのウイルス不活化効果および殺菌効果は、溶出した銀よりも担持された銀の作用に大きく依存していることが示唆された。
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