研究概要 |
1.シラ-ウィッティッヒ転位の開発 ケイ素上にアミノ基とリチウムが共存するケイ素アニオンおよびアルコキシ基とリチウムが共存するケイ素アニオンの発生法をすでに開発している.アルコキシシリルアニオンはシリレノイドの性質を示すこともすでに見いだしている. 本年度は,アリルオキシ基やアリルアミノ基を有するこれらのアニオンでは,アリル基が酸素や窒素からケイ素上へ分子内転位することを,見いだした.これはウィッティッヒ転位のケイ素類似反応であるシラ-ウイッティッヒ転位のはじめての例である.転位の位置および立体選択性の検討も行った.本反応はアリルアルコールやアリルアミンからケイ素官能性アリルシランを得る新しい方法論を提供するものである. ケイ素官能性5配位オリゴシランの合成,構造および反応 これまで研究されているポリシランはすべて通常の4配位ケイ素を有するものに限られている.ケイ素に官能基を導入しさらに5配位などの高配位状態にすることにより結合角度,結合距離が変化し,反応性,物理的性質が大きく変わることが期待される.このようなポリシランのモデルとして,ケイ素上に官能基を有する5配位ジシラン,トリシランおよびテトラシランを合成し,構造,反応性の研究を行なった.4配位とことなり,5配位化合物中のケイ素-ケイ素結合が熱および遷移金属錯体に対して活性になっている一方で,光に対しては安定になっていることが判明した.
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