テラビット・スピニック・データストレージの基礎検討

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07405052
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 中村 慶久 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (50006235)
• 研究分担者: 丹 健二 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (80282010) ; 清水 幸也 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (90282011) ; 村岡 裕明 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20239479)
• キーワード: スピニックデータストレージ / 狭トラック磁気記録 / 単磁極ヘッド / 薄膜磁気ヘッド / 多値信号処理

研究概要

代表者等は、従来のトラックバイトラック方式による記録密度や転送レートの限界を打破するために、複数のサブミクロン幅超狭トラック記録と2次元信号処理と組み合わせるマルチトラック並列記録方式をベースとする高速高密度スピニックトレージシステムの検討を行なっている。平成7年度は、集積型並列記録ヘッドと並列信号処理方式のアウトラインを固めているので、本年度は具体的なデバイスの研究に入り、まず単一ヘッドユニツトの設計・試作を開始した。
本年度は、昨年度の結果を用いるとともにコンピュータシミュレーションによる詳細な解析を加えて設計を行ない、薄膜導体励磁単磁極ヘッドを実用性の高い浮上ヘッドスライダと組み合わせて試作を進めている。また、再生用に高感度・高分解能磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)の検討も開始し、垂直記録用として単磁極型の書き込みユニツト持つヘッドを試作し、その優れた感度と分解能を測定で示した。一方、このMRヘッド出力を微分型の等化を行なうことで、従来方式の2倍近い線密度を確認した。この結果は理論的にも実証しており、実験的・理論的にMRヘッド再生に対する垂直記録再生特性を明らかにしつつある。
また、サブミクロントラック幅記録の記録状態をスーパーコンピュータによる3次元シミュレーションを用いて解析を行ない、二層膜媒体垂直磁気記録ではトラック端での記録磁界の漏れが極めて少なく、狭トラック幅記録を達成できる能力がここでも示された。このシミュレーションは従来解析が必ずしも容易ではなかった媒体ノイズと媒体物性定数の関係を明らかにでき、高分解能・低ノイズ媒体の設計指針を与えた。さらに、垂直時機記録により100Gbit/inch^2の超高面密度が記録可能なことも示され、スピニックストレージの可能性を理論的に証明できた。

研究成果

• [文献書誌] 清水幸也: "サブミクロントラック記録におけるスペーシング損失" 日本応用磁気学会誌. 20. 89-92 (1996)
• [文献書誌] 高野研一: "垂直磁気記録用MRヘッドの再生特性" 日本応用磁気学会誌. 20. 145-148 (1996)
• [文献書誌] 江 年華: "サブミクロントラック幅単磁極ヘッドの多トラック化" 日本応用磁気学会誌. 20. 149-152 (1996)
• [文献書誌] K. Takano: "Contact magnetoresistive head for perpendicular magnetic recording" J. App. Phy.79. 5002-5004 (1996)
• [文献書誌] 中村慶久: "磁気記録の超高密度化-3次元シミュレーションによる予測-" 電子情報通信学会論文誌C-I. J79-C-I. 152-164 (1996)
• [文献書誌] H. Muraoka: "MR Head Reading Characteristics in Perpendicular Magnetic Recording" IEEE Trans. Magn.32. 3482-3484 (1996)
• [文献書誌] N. Jiang: "Submicronwidth Multitrack Single Pole Head for Ultra High Density Perpendicular Magnetic Recording" IEEE Trans. Magn.32. 3554-3556 (1996)
• [文献書誌] I. Tagawa: "Numerical analysis of noise and interparticle interaction in perpendicular magnetic recording media" J. Magn. Magn. Met.155. 341-344 (1996)
• [文献書誌] 山田 洋: "垂直磁気記録におけるMRヘッドの再生の高分解能化" 日本応用磁気学会誌. (印刷中)21. (1997)
• [文献書誌] 佐藤一樹: "高密度広帯域単磁極形薄膜ヘッドの基礎検討" 平成8年度電気関係学会支部連大. 1A8. 8- (1996)