研究概要 |
前年度に引き続き,設計と施工が同時進行する建築プロジェクトの実現を目的として,そのようなプロジェクトにおける業務実施を支援するシステムの検討を行うとともに,その成果をとりまとめた。本年度は,この業務実施支援システムのうち,サブシステムである設計情報モデルを中心として検討し,その開発を行った。設計情報モデルの目的は,対照建築物の部材情報と生産情報の総合的検討の支援,プロセスの初期段階から一貫して利用できる履歴成長性,変更への柔軟性である。本研究では,ここにオブジェクト指向データベースのもつ可視性や継承を利用することで,これらを備えた設計情報モデルが具現化されることに着目した。具体的には,以下4つのサブテーマのもので検討を行った。 1.産業実施支援システムの基本構造の検討コスト概算やネットワーク計算など,建築生産プロセスの各段階で必要となる個別の技術支援ルーツを統合する全体システムの基本構造を決定した。あわせて,新たなシステムに対応した業務の進め方,組織のあり方,情報共有の方法を検討した。 2.業務実施支援システムの要件仕様の検討上記のシステムの要件仕様を,オブジェクト指向分析の手法によって記述することで,明示的なものとして提示した。また,その中での設計情報モデルの位置づけを明確にした。 3.業務実施支援システムのプロトタイプの開発以上の成果を総合し,オブジェクト指向言語を用いて,パソコン上で設計情報モデルのプロトタイプ開発を行った。プロトタイプにおいて当初の目的や仕様が充足されていることを確認した。 4.全体のとりまとめ昨年度までの研究にて開発した他のサブシステム等と本年度開発した設計情報モデルを統合し,システム全体の整合性を図り,業務実施支援システムのプロトタイプとした。これにより,設計と施工の同時進行型プロジェクトの実施を支援するシステムが開発された。
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