研究概要 |
本年度は以下に示す研究を行った。 1。原子層・ブロック層積層設計技術の確立: 金属酸化物の原子層・分子層を積層する時に、結晶化学的にどの順序が望む構造創成に適しているかを系統的に決定した。ペロブスカイト基本格子の組合せで、格子定数が近い岩塩型、フルオライト型などのブロックの組合せが積層可能であること、電荷中性を保つ必要があることを明らかにした。又、電荷供給層として隣接層へのチャージフィリング制御を行った。 2。原子層・ブロック層積層過程の表面、界面研究: 上記設計指針にのっとり、本年度計画で購入したレーザーを用いてレーザーMBE法により積層を行った。この過程が実際にレイヤーバイレイヤーで起きていることをRHEED(高速電子線反射回折)で検証した。この結晶成長過程のデータを、物質設計指針と比較検討し、レーザーMBEでの人工格子結晶成長条件を決めることができた。 3。ニッケル、銅の酸化物の積層構造と電子構造: Cu,Ni系酸化物層を中心として、それを挟む原子層の格子定数の選択を行い、局在性の強いNi(1+,2+)やCu(2+,1+)原子層に対し、Sr,La系の電荷供給層によるフィリング制御を行った。本年度購入のSTMにより電子状態を測定し、モット絶縁体に近い状態からの伝導性発現機構を明らかにした。
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