研究概要 |
1.半導体ガスセンサ 牛肉の熟成および腐敗過程で発生するにおい成分であるアセトイン、二硫化ジメチルおよびイソアミルアルコールについて、ZnOに第二成分としてWO_3を添加すれば、比較的選択性に優れたガス検知が可能であることがわかった。この場合、WO_3の添加量および作動温度を制御することによって選択性の改善が可能であり、これらの材料を触媒として用いた活性試験から、その触媒活性とガス検知特性とは相関があることを実証し、GC-MS等の検討結果から、中間生成物を経由する反応を触媒する材料において、比較的高い感度を示すことを確かめた。 CO選択性に優れたセンサとして、申請者らはIn_2O_3系の材料が有望であることを報告している。In_2O_3をベース材料として各種金属酸化物および貴金属を添加することによって高選択的なCO検知が可能であるが、CO選択性向上の要因として電子的な増感効果と化学的な増感効果に着目し、TEM等の機器分析による検討および触媒活性試験を行った。その結果、20nmのIn_2O_3粒子に添加物が接合していることが観察され、添加物の化学的な分子認識機能とそれを変換する電子的な効果がセンサ特性に大きな影響を与えていることを確かめた。 2.固体電解質センサ 固体電解質としてNASICONを用いた電位検出型CO_2センサについて、接合界面をSEM/EPMAおよびオージェ電子分光法により解析した結果、炭酸塩補助相がLiを含む場合、NASICON相に反応相いわゆる中間層が形成され、センサ応答の安定性に大きな影響を及ぼしていることを見いだした。一方、炭酸塩補助相がNaを含む場合、炭酸ナトリウム単独ではNa,Zr,Si,Oから形成される複合酸化物が見られ、これがセンサ特性の低温作動化を妨げていることがわかった。さらに、Ba塩を含むNa-Ba系では、そのような中間相が形成されず、良好なセンサ特性が得られることを確認した。
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